球磨川豪雨検証委員会の初会合が25日に県庁であり、九州地方整備局は、建設計画が中止された川辺川ダムが仮に存在した場合の効果について「人吉地点のピーク流量をある程度低減可能と推測できる」と説明した。
委員会は、7月豪雨で発生した球磨川の大規模な氾濫を検証し、将来の治水対策などに繋げようと設置。蒲島郁夫知事、九州地整の村山一弥局長、流域12市町村の首長が出席した。
九州地整は、今回の豪雨により本川及び支川・川辺川の各観測所で、戦後最大の被害をもたらした1965(昭和40)年7月洪水を上回る降雨を観測したと報告。本川2カ所で堤防が決壊し、橋梁17橋が流失、浸水面積約1150f、浸水戸数6280戸に及ぶと、被害状況を説明した。
市房ダムの洪水調節については、「あらかじめ予備放流を実施し、下流河川の水位低下を図った」「網場等で流木を捕捉し、下流の浸水被害を防止した」と話した。
2007年5月に策定された河川整備基本方針では、人吉地点の対応可能な水量を毎秒4000dとしている。今回の豪雨では、ピーク流量を8000d、市房ダムの調節分を除き7500dと推定しており、九州地整は「仮に川辺川ダムがあった場合、4700d程度に低減することが可能」とした。
流域の自治体からは、「住民が将来に安心して暮らせるよう、抜本的・恒久的な治水対策を行ってもらいたい」(八代市)、「川辺川ダムを選択肢の一つとして総合的に考えていく必要がある」(芦北町)、「元の場所に住めるのかという不安がある。スピード感を持って進めてほしい」(人吉市)―などの意見があった。
次回委員会では、今回速報値として示した人吉地点の流量の精度向上を図り、他の地点の流量も示す方針。川辺川ダムの効果についても定量的に評価し、各地点の水位・浸水面積、各種施設への影響等を示す考え。
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