建通新聞社(東京)
2020/08/25
【東京】荒川の流域治水 都・江東7区と連携で推進
国土交通省関東地方整備局と東京都、荒川沿川の7区は8月24日、荒川水系を対象に河川整備と流域のソフト対策などを一体的に実施する「流域治水プロジェクト」の策定に向けた協議会を立ち上げた。24日の初会合では、国・都による河川整備と沿川区による高台まちづくり、広域避難を考慮したハザードマップ作成などを盛り込んだプロジェクトの中間案を提示。2020年度末にかけて協議会で議論し、事業の内容をまとめる。
国交省は、近年の風水害の激甚化・頻発化を受けて、河川管理者のみによる従来の水害対策からの転換を表明。7月に公表した「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」の主要施策に流域治水を位置付け、全国の1級河川を対象に流域治水の計画を策定することとした。
協議会の設置に当たり、国交省荒川下流河川事務所の早川潤所長は「荒川下流域には人口・資産が集積している。あらゆる主体が水害対策を自分事と捉えて取り組む、パートナーシップの構築が求められている」と述べ、都区に協力を呼び掛けた。
東京ブロックの流域治水プロジェクトは、荒川の国管理区間と、荒川に洪水が流入する支川を対象とする。24日に提示した中間案では、河川整備に関わる対策として、国交省の高規格堤防整備や河道掘削、京成本線荒川橋梁掛け替えなどを位置付けた。また、都による、芝川や新芝川といった支川の河道掘削についてもプロジェクトに盛り込む。
今後、周辺自治体による流域対策として、下水道の雨水貯留施設や排水施設の整備、下水道の排水施設の耐水化、雨水貯留・浸透施設の整備推進などを盛り込んだ。また、低平地に住宅・財産が集中している地形特性を踏まえ、高台まちづくりによる高所移転の促進なども検討していく。
ソフト対策では、国や都・区、個人など関係する主体ごとに災害時の対応をあらかじめ定める「タイムライン」の策定・運用や、広域避難を考慮したハザードマップの作成・周知を促す。
荒川上中流部の埼玉県側では今後、別途協議会を設置し、第二・第三・第四調節池の整備推進などを検討していく。最終的には荒川全体の流域治水プロジェクトとしてまとめ、20年度末までに計画を策定する。
提供:建通新聞社