名古屋市住宅都市局は、鳴海駅前第2種市街地再開発事業で、駅北側のA・B街区について都市計画変更を含めた施設建築物の整備計画を見直す考えだ。名古屋駅まで急行利用で15分の立地にあり、住宅需要は強いとみられる一方で、商業・業務スペースが現在の市場ニーズに合っていないという意見があり、本年度の検討調査で駅前にふさわしい施設内容を検討する。同街区には、老朽化が進む緑区役所を移転配置すべきとする地元要望がある。緑区役所の移転改築の是非は全庁的な判断となるが、検討調査では行政関係施設を整備した場合の整備計画案などをまとめ、資料を整える考えだ。
2街区は、古鳴海停車場線を挟み西側のA街区が面積約4100平方b、東側のB街区は面積約3800平方b。
現在の計画では、A街区は古鳴海停車場線に面して商業・業務施設を1〜2階に、業務・サービス施設を3〜5階に配置。東側6〜13階に住宅を設ける。西側1〜6階は駐車場。施設の延べ床面積は約1万7700平方b。B街区は商業施設と住宅は別棟とし、鳴海北駅前広場に面して商業・業務施設を1〜3階に配置する(上部に施設専用駐車場、6階建て)。商業施設東側が住宅棟で、1階に住宅専用駐車場、2〜14階を住宅とする計画。施設の延べ床面積は約1万5700平方b。
住宅に対する需要は、事業者に対するヒアリングなどを通じて引き合いが強いと判断しているものの、地元では必ずしも住宅機能だけを望んでいない。一方、商業・業務機能は現在の計画のままでは市場ニーズに合っていないようだ。
検討調査では、再開発事業に適した導入機能を整理・検討する他、緑区内における行政関係施設や市有地の状況を整理する。その上で、行政関係施設整備や市有地活用のケーススタディー、行政関係施設の整備方針を整理、A街区またはB街区を整備用地とした場合の整備計画案や概算費用をまとめる。また、行政関係施設を導入する場合の民間活力導入可能性も把握した上で、基本整備計画案までをまとめる。
市の区役所は、現庁舎で最も古かった中村区役所が19年度に移転改築に向けた建て替えに着手している。千種区役所は現地建て替えに向けた基本設計を進めている。緑区役所は1973年完成で、建て替え計画が進行している2区役所を除くと東区役所、守山区役所に次いで古い。緑区役所の現庁舎は、鉄筋コンクリート造地下1階地上3階建て延べ5608平方bの庁舎など6棟からなり、全体延べ床面積は5990平方b。
同再開発事業は今年6月、事業期間を2027年度までに延長している。施設建設に3年、実施設計に1年、事業者選定に1年、都市計画変更に1年とみると、施設内容を決めるまでの時間は限られていると言えそうだ。
提供:建通新聞社