国土交通省四国地方整備局長に就任した丹羽克彦氏は就任会見で「攻めのインフラ整備、守りの災害対策、そして令和にふさわしい建設業の進化」を施策の柱に今後の事業を展開していく意向を示した。
丹羽局長は、具体的な施策展開に当たり「“攻め”としての『人・モノの交流を支えるインフラの整備』、“守り”としての『激甚化する自然災害、南海トラフ地震などへの備え、インフラの老朽化対策』、『令和時代にふさわしい建設業への進化』」の3本の柱を掲げた。
インフラの整備については、全国に比べ十分とは言えない四国の社会基盤を進める必要があると強調。道路分野では「進捗率が7割程度でミッシングリンクが残っている8の字ネットワークの整備」、港湾では「物流を支える高松や松山の国際物流ターミナルの整備」を着実に進める。
守りの施策に関しては、「災害は『事前に準備した以上の対応はできない』と言われるが、激甚化・頻発化する災害には河川や流域での十分な準備が必要になる」と語り、全国の1級河川を対象に進める流域治水プロジェクトとして、自治体ごとに具体的な取り組みを年度内にまとめる。併せて南海トラフ地震への対応として、海岸堤防の整備や防波堤の強化といった地震・津波対策を推進する。
自身も策定に携わった防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策が本年度で終了することについては「引き続き四国で防災・減災・強靱化の取り組みが必要であることは間違いない」と述べ、今後も必要な予算を確保していくため「いま何が必要か、地域の実情を発信してほしい」と話した。
インフラの老朽化対策では、予算や技術者、ノウハウの不足を要因に自治体の取り組みが進んでいないことを危ぐする。「壊れてから直す事後保全ではコストも時間も掛かってしまう。予防保全の考えに基づく取り組みに向けて自治体をしっかり支援する」とした。
建設業の進化としては、「高齢化が進む業界の担い手確保は喫緊の課題だ。特に若い人たちに建設業で働いてもらうためには、魅力ある業種・業界にしていく必要がある」と述べ、四国地整を含めた業界全体で「i―Constructionの導入をはじめとしたデジタルトランスフォーメーションを推進し、生産性の向上や職場環境の改善につなげていきたい」との意向を示した。
丹羽克彦(にわ・かつひこ) 1990年3月早大大学院理工学研究科修了、同年建設省(現国交省)採用。17年関東地方整備局道路部長、19年本省道路局企画課長などを経て7月から現職。四国は96〜98年に土佐国道事務所、四国地方建設局企画部に勤務して以来。東京都出身。56歳。
提供:建通新聞社