近畿農政局は、今後5ヵ年の新たな土地改良長期計画を令和2年度末までに策定する。
京都市上京区の京都農林水産総合庁舎で20日、新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会(近畿ブロック)を開催し、新長期計画の策定などについて審議した。
地方懇談会はオンライン会議方式で行われ、農林水産省の青山健治防災課長が「土地改良事業は、単なる公共事業というだけでなく、人と人のつながり、農業の競争力強化、地方創生などにもつながる」「現場の課題やニーズを踏まえ長期計画を検討するため、現場の実情や課題などについて意見をいただきたい」と挨拶した。
地方創生の長期計画への位置付け
京丹後市の中山市長が要望 地方代表者の一人として参加した京丹後市の中山泰市長は、農業農村整備に係る抜本的な予算付け、「地方創生」の土地改良長期計画における構造的な位置付けなどを要望した。
地方懇談会ではこのほか、農業用ため池の管理及び保全に関する法律(令和元年7月施行)、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法(令和2年6月公布)などについても報告した。
土地改良長期計画は、土地改良法の規定により、土地改良事業の計画的な実施に資するため、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴いた上で計画案を作成し、閣議決定する。
新たな長期計画策定では、農業・農村を次の世代につなぐため、農業農村整備事業が果たすべき役割等を整理しつつ、「新たな食料・農業・農村基本計画」に加え、「国土強靭化基本計画」等の上位政策に位置付けられた政策課題を踏まえた検討を実施する。
検討の基本的な視点は、@人口減少下で持続的に発展する農業の振興→農業が目指すべき姿(主要な政策課題…▽農地の集積、集約化による農業の大規模化、高収益作物の導入・転換、スマート農業の導入、輸出等の新しい農業の展開▽新技術も活用した農地、農業水利施設の適切な管理)A多様な主体が住み続けられる農村の振興→農村が目指すべき姿(主要な政策課題…▽雇用確保、所得増大を通じた農村に住むための基礎的な条件整備▽地域資源を適切に保全管理しつつ持続可能な形で最大限活用し、農業・農村の多様性を活かした農村の振興)B農業・農村インフラの持続性・強靭性の強化→農業・農村を下支え(主要な政策課題…▽農業水利施設やため池等の管理、保全を含む農業・農村の防災・減災対策▽土地改良区の体制強化、地域の人材育成・確保)の3点。
今年6月に農林水産大臣の諮問を受け、農業農村振興整備部会で本格的に検討を開始。今回の地方懇談会を経て、農業農村振興整備部会で論点整理、枠組み(政策課題、目標等)の整理などを踏まえ、11月に中間とりまとめ。来年2月に計画案をとりまとめ、3月の答申を経て閣議決定する予定。
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京滋関係の国営事業地区は、地区調査地区で国営総合農地防災事業(近江東部)(滋賀県)(平成28年度〜令和2年度)(受益面積6877f)(主要工事はダム堆砂対策)。
事業実施中の地区は、国営かんがい排水事業で湖北(国営施設応急対策事業)(滋賀県)(令和2年度〜6年度)(受益面積4519f)(主要工事は頭首工1(改修)、用水路(改修))、湖東平野(滋賀県)(平成26年度〜令和4年度)(受益面積6877f)(主要工事はダム1(貯水池掘削)、用水路(改修)等)、日野川(国営施設機能保全事業)(滋賀県)(平成25年度〜令和4年度)(受益面積4929f)(主要工事はダム1(改修)、頭首工4(改修)、揚水機場3(改修)等)、大中の湖(国営施設応急対策事業)(滋賀県)(平成27年度〜令和2年度)(受益面積930f)(主要工事は揚水機場(改修)、排水路(改修))。
国営緊急農地再編整備事業で、亀岡中部(京都府)(平成26年度〜令和5年度)(受益面積444f)(主要工事は区画整理)。