神奈川県横浜川崎治水事務所は、恩田川遊水地(横浜市緑区小山町地区)の上部空間を有効利用するための検討に着手する。予備設計で検討した遊水地の基本諸元を踏まえて計画を立案し、横浜市と地元住民の意見を取りまとめながら遊水地上部の利用方法を決める。この他、遊水地の洪水調節効果を確認するための水理模型実験も行う予定だ。いずれの業務も、委託に向けた歩掛の見積もり公募手続きを進めている。
恩田川遊水地は、恩田川の左岸、県道140号(川崎町田)の南側辺りの約3万平方bを活用し、貯水容量約10万1000立方bを有する施設を整備する。県土整備局の2019年度公共事業評価によると、25年度に工事着手し、36年度に完成する見通し。予備設計業務はニュージェック(大阪市北区)が担当した。
現状の土地利用の内訳は、宅地約1割、水田約3割、畑約5割、道路・水路約1割。
今後委託する上部利用計画検討業務では、市民らによる利用方法に関わる会議の運営・進行をサポート。その上で、計画の立案、取りまとめを担う。
また、水理模型実験については、水理挙動を把握することで数値計算で算定した洪水調節効果が十分に得られるのかを確認。詳細設計の水理検討に必要な水理モデル定数を設定する。
鶴見川水系の恩田川は東京都町田市滝の沢に源を発し、町田市内を流れ横浜市緑区中山町で鶴見川に合流する全長13・1`の1級河川。河道の大半は掘り込み河道形態で直線的に整備されており、護岸はコンクリート護岸やブロック積み護岸になる。中・下流部の横浜市域は低層住宅地と農地が広く分布し、鶴見川との合流部付近にはマンションや工場などが立地する。
県土整備局は同河川の整備について、小山橋下流から都県境までの約6・5`区間で護岸工、河床掘削工、遊水地工を施して時間降雨量約60_に対応する方針だ。
提供:建通新聞社