北海道建設新聞社
2020/08/07
【北海道】札幌の景観色をより使いやすく 景観色彩研究室が早見表
景観色彩研究室は、発注者や設計者が札幌の景観色70色をより使いやすくなるよう、早見表「だいたい・札幌の景観色」を作成した。札幌市が示す色相と明度、彩度の許容範囲を表した限界色域≠ニ、日本塗料工業会(日塗工)が発行する塗料用標準色K版の色票番号をひも付けしたシート。代表70色以外の色が使えるかどうか明確化しているため、景観色の選択肢が広がる。発注者と設計者、塗料メーカー、施工会社をつなぐコミュニケーションツールとして注目されそうだ。
景観色彩研究室は、アリエルプラン・インテリア設計室(本社・札幌)の本間純子代表と、佐藤デザイン室(同)の佐藤裕子さんによる組織。色には「感じる」「伝える」「支える」の3つの役割があり、こうした考えから街中で使われることが望ましい色彩を提案している。最近は札幌大通公園9丁目の遊具の色使いを企画提案した。
だいたい・札幌の景観色は、札幌の景観色70色の代表色を含めた限界色域を、日塗工の色票番号に置き換えた場合の対照早見表。建設業界では日塗工の色票番号を基に色指定することが多いため、対照表を作ることで発注者や設計者が、より札幌の景観色を指定しやすくなると考えた。
札幌市は「大規模建築物等色彩景観ガイドライン」を2004年に策定し、具体的な色彩基準を札幌の景観色70色としてまとめた。しかし「使える色は70色」といった誤解から、イメージする色が見つからず困ってしまう設計者は多いという。
実際、70色は代表色で、色ごと色相と明度、彩度の許容範囲を表す限界色域≠フグループを持っている。だが限界色域の範囲が複雑なため、各代表色の範囲内にどのような色があるか、すぐには分からなかった。
だいたい・札幌の景観色は日塗工の色票ページのほか、YR(黄赤)やG(緑)など色相で大別し、札幌の景観色に該当する色を色面で記す。普段使っている色見本帳から、景観色をスムーズに選択したり色指定できる。
札幌市の助成を受けて作成。景観色彩研究室は日塗工の塗料用標準色K版に載る全618色をチェックし、限界色域に当たる色を一覧にまとめた。塗装業者や販売店、塗料メーカーの有志で組織する北海道昭和会から実用化に向けたアドバイスを受けた。
北海道昭和会の本郷一保会長は「設計の人たちから対照表があったらいいね≠ニいう言葉をよく聞いている。今後は札幌の景観色がより使いやすくなると思う」と話す。
対照表の作成に携わった本間代表によると、名称の「だいたい」は代替とおおよその2通りの意味を指すという。「景観色として使える色か使えない色かを一覧にしたツール。建物や橋梁、鉄塔などを塗るときに参考にしてもらえれば」と話している。