2020年度の普通交付税額が決定し、東京都は1954年の制度発足以来引き続き「不交付団体」となった。基準財政収入額から基準財政需要額を差し引いた額が1兆1817億円に上ると国が算定し、財源超過だと判断された。一方で、財源超過額は2020年度と比べると約11%マイナスしている。都財務局は、「財源超過額は都の実態を表したものではなく、財源余剰があるという主張は妥当ではない」と訴えている。
普通交付税の算定方法は、基準財政需要額から基準財政収入額を引いた財政不足額を基準に配分される。都の交付税は、都と23区を合わせて一つの自治体と見なして算定されている。
都の20年度の基準財政需要額は、3・0%増の3兆6561億円。内訳は、都分が1・6%増の2兆0432億円、23区分が4・9%増の1兆6129億円でいずれもプラスとなっている。
基準財政収入額は、前年度比0・8%減の4兆8378億円。このうち都分は4・8%減の2兆2690億円。一方、23区分は2・9%増の2兆5688億円。
差し引きした財源超過額1兆1817億円のうち、都分は39・0%減の2258億円、23区分が0・2%減の9559億円だった。
この算定結果について都は、国の基準で算定した基準財政需要額には、都の予算額(実際の支出額)に含まれていない支出があると指摘。
具体的には、待機児童の解消に向けた取り組みで保育所整備費補助を国の基準よりも上乗せしていることに加え、都市型災害への備えとして必要な調節池整備費がほとんど計測されていないと主張した。
また、「人口や土地価格などの計測値に上限が設けられているだけでなく、大都市の支出を計測するための乗率が年々引き下げられているため、約6000億円の支出が抑制されている」などの考えを示し、都に財源余剰があるとの主張は「妥当とは言えない」と強調している。
提供:建通新聞社