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北陸工業新聞社
2020/08/05

【福井】北陸新幹線深山トンネルが貫通/敦賀開業へ大きく前進/全12本の掘削完了へ

 23年春開業の北陸新幹線金沢〜敦賀間の建設工事で、国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録されている中池見湿地(敦賀市)を通る「深山トンネル」が貫通し、12本すべてのトンネルの掘削が完了した。3日に同トンネルで記念式典が行われ、関係者は「嶺南に向かう新たな道ができた。敦賀開業へ大きく前進」と喜び、開業への決意をあらたにした。
 同トンネルは全長768メートルで、19年1月に敦賀方から金沢方に向けて、NATM工法で掘削を開始した。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、湿地への影響低減を目的に「環境管理計画」を策定。一般的なトンネル断面である馬蹄形から、水圧に最も強い真円形とし、全周を防水シートで覆うなどの対策を行ってきた。
 当初は今年3月の貫通を目標としていたが、19年2月に掘削土の一部から国の基準値を上回るヒ素が検出され、土壌調査等の対応のため、約4カ月の掘削中断期間があった。
 式典では、市や県、施工者などの関係者ら約50人が参列。大型ブレーカーと呼ばれる重機で土砂の壁に穴をあけて壁を貫通させた後、関係者あいさつ・祝辞へと進んだ。
 同機構の柏木亮敦賀鉄道建設所長は「5メートル毎に地層が変わり、地質も脆く、本当に難しく不思議な山だった」と工事の苦労を語るとともに、関係者らに対して感謝の意を表した。
 また、来賓の片山富士夫敦賀市副市長は「鉄道と港の街にふさわしい発展に期待するとともに、受け皿づくりも進めていきたい」と祝辞を述べた。
 その後、鏡開きと乾杯、万歳三唱で、最後のトンネルの無事完成を祝いあった。

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