国立劇場の再整備に向けて、文部科学省と国土交通省、内閣官房、劇場を運営している日本芸術文化振興会で構成するプロジェクトチームが整備計画を策定した。伝統芸能の伝承と文化観光の振興、周辺の景観との調和を実現するため「建て替えにより整備する」との方針を明記。事業手法としては施設の整備と維持管理、劇場運営業務の一部を一体のPFI事業として発注するBTO方式(サービス購入型)を前提に進める。今後、2021年度にも実施方針を公表し、22年度の契約を目指す。
既設の国立劇場(東京都千代田区隼町4ノ1)は、本館と演芸場、伝統芸能情報館、事務棟など合計17棟で構成。延べ床面積は合計3万5563平方bとなっている。敷地面積は3万1244平方bで、建ぺい率50%、容積率500%。
整備計画では機能強化の方向性として、伝統芸能の魅力を表現するための舞台設備の整備を盛り込んだ。舞台の間口や奥行きの拡張、花道の電動化、狭隘(きょうあい)な楽屋の拡張などを実施する。
また、劇場に関わる人材育成のため、研修スペースの拡充や防音、防振対策も現行より強化する。
展示機能の充実や文化発信機能の強化も計画。グランドロビーの新設や、体験展示施設の拡充、舞台裏を見学できる動線の新設などを位置付けた。
PFI事業者は、劇場施設の整備と維持管理の他、劇場運営のうち公演の本体業務とその関連業務を除く業務を担う。また、付帯業務として、定期借地権を活用した民間収益施設の設置も計画しており、事務所やレストラン、カフェ、売店などの設置を想定している。
今後は事業者への聞き取り(サウンディング)や市場動向調査の結果を踏まえ、PFI事業で設定する事業期間を検討する。施設の基本的な仕様や面積は文化庁に設置する有識者会議で検討。建物の規模や外観についても引き続き調整する。
整備後の再開場は29年を目指す。
提供:建通新聞社