令和2年度上期の近畿ブロック監理課長等会議が28日、大阪市中央区の大阪合同庁舎で開催。建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用促進や入札契約の改善に関する市町村との連携強化などを盛り込んだ「新・担い手3法の浸透に向けた申合せ案」を確認した。
近畿ブロック監理課長等会議は、入札契約担当課長会議として、近畿管内各府県の入札契約部局や建設業許可部局などの担当者と国土交通省・近畿地方整備局の担当者が意見交換を行う場で、年2回開催(会議は非公開)。今回は国交省、近畿地整の担当者や、京滋関係では京都府から林龍夫建設交通部理事(指導検査課長事務取扱)ら、滋賀県から小林政史土木交通部監理課課長らが出席した。
議題は、@新型コロナウイルス感染症等を踏まえた公共工事の施工確保について((1)新型コロナウイルス感染症による発注、執行等への影響を踏まえた年度後半の事業執行(2)新型コロナウイルス対応としての入札・契約上の工夫、(3)工事の不調不落等)A施工時期の平準化の推進について((1)農林や教育などの土木以外の部局や財務部局など部局間の連携、(2)管内市区町村における平準化の取組推進等)BCCUSに係るインセンティブ措置の検討について((1)CCUSに係るインセンティブ、(2)CCUSに係る地元企業の声等)C改正建設業法に基づく工期の適正化等の円滑な施行について((1)適正な工期の設定等)D入札契約の改善に関する市区町村との連携強化等について((1)入札契約制度の改善に関する管内市区町村との連携、(2)業務の発注関係事務の適正化等)。
新・担い手3法の浸透に向けた申合せ案によると、公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成・確保を図るため、新・担い手3法(公共工事品質確保法、入札契約適正化法、建設業法)に基づき、以下の取組を推進することを申し合わせる。[1]施工時期の平準化の更なる推進(建設業の働き方改革や生産性向上に資するよう、平準化の進捗・取組状況の「見える化」の結果を踏まえ、交付金事業を含めたゼロ債務負担行為や工期1年未満の工事における債務負担行為のより一層の活用をはじめ、平準化の具体的取組について更なる充実に努めるものとする。また都道府県に比べて取組の進んでいない市区町村において、取組の加速化が図られるよう、管内市区町村に対し、今般改訂された優良事例集の周知等により、積極的な働きかけや助言等の支援に努めるものとする。特に10万人以上の市については、今年度内に未実施団体をゼロにすることを目指す)、[2]円滑な施工確保及び災害時における対応(新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ、公共工事の適正な入札及び契約を通じた建設業の健全な発達と、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策の加速化を図るため、引き続き、不調・不落対策など公共工事の円滑な施工確保に努めるものとする)、[3]建設キャリアアップシステムの利用促進(CCUSについて建設業界共通のインフラとして定着を図るため、国土交通省直轄工事のCCUSモデル工事や地方公共団体発注工事における加点評価等、先行する取組を参考にし、地域における普及状況も踏まえつつ、公共工事におけるインセンティブ措置等について実施又は積極的な検討を行うものとする)、[4]入札契約の改善に関する市区町村との連携強化(都道府県公契連との連携)(施工時期等の平準化のほか、工事・業務におけるダンピング対策やCCUS支援措置の普及等、今後は、市区町村における入札制度の改善等を促すことがより重要な課題であるため、市区町村の契約担当者が参集する各都道府県公契連と国との連携を強化し、地域の現状や課題を踏まえつつ、国と都道府県が連携して市区町村における入札制度の改善や働きかけに努めるものとする)。
このうち、市区町村における入札制度の改善等に向けた連携強化については、今回の申合せを踏まえ、「都道府県公契連の総会等に直接参加し、それぞれの地域の現状や課題を踏まえ、市区町村に直接働きかけを行う」など、取組を強化・改善する。
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都道府県の平準化率(令和元年5月時点データ抽出。平準化率=(4〜6月期の工事平均稼働件数)/(年度の工事平均稼働件数))によると、京都府は0・79、滋賀県は0・75で、大阪府は0・76、兵庫県は0・81、奈良県は0・77、和歌山県は0・72。全国平均は0・75。
平準化の取組状況(令和元年11月時点。積算の前倒しは平成30年度実績)をみると、京都府では(工期1年未満工事における債務負担行為の設定)…7・4%、ゼロ債務負担行為の設定…1・0%、(柔軟な工期設定)…5・3%、速やかな繰越手続…11月〜12月初承認、積算の前倒し…×、早期執行のための目標設定…○。滋賀県では(工期1年未満工事における債務負担行為の設定)…31・6%、ゼロ債務負担行為の設定…7・0%、(柔軟な工期設定)…×、速やかな繰越手続…その他、積算の前倒し…○、早期執行のための目標設定…○。
府県によるCCUSに係る企業評価の主な導入状況(令和2年7月・国交省調べ)をみると、滋賀県は総合評価において加点(総合評価方式において「CCUSの元請企業の事業者登録と活用」を実施する場合に加点評価(試行)。現場にリーダーを設置し、技能者が利用する場合に評価)。
このほか、宮城県は国と類似のモデル工事を実施(令和2年8月頃より、CCUS活用モデル工事を実施予定)、福岡県は入札参加資格審査において加点(令和元年度の入札参加資格より、CCUSの事業者登録をしている企業に対して5点加点)など。
なお近畿では、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県が「今後評価を検討」。
地方公共団体における平準化率の状況(令和2年4月)によると、人口10万人以上の市(指定都市を除く)の現状については、平準化率が0・5を下回る団体は全国で112団体(滋賀関係は彦根市、草津市、東近江市。京都関係は無し)。また平準化に向けた債務負担行為の設定等の取組を何ら実施していない団体は43団体あり(京滋関係は無し)、特に改善を促す働きかけが必要とした。