国土交通省四国地方整備局と徳島県は7月14日、徳島市内で建設事業調整会議を開いた=写真。四国地方整備局から小林稔局長ら局幹部や新宅幸夫徳島河川国道事務所長をはじめとする県内事務所所長の計11人、県から飯泉嘉門知事、瀬尾守政策監の他、貫名功二県土整備部長をはじめとする県土整備部幹部職員の計14人などが出席。徳島県内における2020年度の建設事業に関する取り組みなどについて意見を交わした。
冒頭、小林局長が20年度における県内事業概要・現況などを紹介。県に対して事業の推進に理解協力を求めた。続いて議題に入り、県から「地域創生を支える強靱(きょうじん)な社会基盤整備の推進」「気候変動に適応した総合的な防災・減災対策の加速」「高速道路ネットワークの早期整備」「安全で使いやすい高速道路の機能強化・料金体系」「安全・安心の確保や地域経済の好循環につながる港湾施設の整備」−の5項目について飯泉知事が説明し、必要な予算の確保や施策・支援等を要望した。
地方創生を支える強靱な社会基盤整備の推進では、国土強靱化の加速化・深化に向け、3か年対策後も新たな対策を講じ、公共事業予算の安定的・持続的確保を要望した他、地方単独事業に係る新たな地方債の創設、公共施設等適正管理推進事業債(長寿命化事業)の期間延長を求めた。
気候変動に適応した防災・減災対策の加速では、県が台風常襲地帯かつ深層崩壊の多発地域で洪水と山腹崩壊等が複合的に発生し、被害が甚大になる恐れがあるとし、早明浦ダムの放流設備増設や小見野々ダムの実施計画調査といったダム再生の加速や、吉野川・那賀川での無堤地域の解消、「有瀬」大規模地すべり(地すべり対策災害関連緊急事業)への必要な予算確保と対策事業の推進を求めた。また、堤防の粘り強い化や補強の全面展開、洪水浸水想定図の作成支援や監視カメラの増強など大水害から命を守るハード・ソフト対策についても要望した。
高速道路ネットワークの早期整備では、地方創生の実現には事前復興と再度災害防止を取り入れた国土強靱化のさらなる加速が不可欠で、県では命の道となる高速道路等の整備が不十分であるとし、ミッシングリンクの解消に必要な予算確保を求めた。特に「津田・地域活性化インターチェンジ(IC)」のフル化に向けた連結許可や「立江櫛渕・阿南間」の先行供用と四国横断自動車道の早期整備、阿南安芸自動車道「海部野根道路」の事業推進、「牟岐・海部間」の事業化、「美波・牟岐間」の計画段階評価への着手などを求めた。また、地域活性化ICについては、高速道路の本線と一体的に進める重要性を強調。「立江櫛渕IC」や「阿南IC追加ランプ」などについて、本線部の開通時期が未公表であっても個別補助の対象とするよう要望した。
安全で使いやすい高速道路の機能強化・料金体系では、南海経済軸(四国ルート)を形成する徳島自動車道の安全・信頼性、使いやすさを向上するための計画的4車線化や本州四国連絡高速道路会社(本四高速)の料金水準の継続や料金割引の拡充が必要とし、財政投融資の積極的な活用による財源の確保で4車線化の加速を求めた。また、2023年度までの期限付きとなっている本四高速の料金水準の24年度以降の継続とネクスコ区間と同様の割引措置などを要望した。
安全・安心の確保や地域経済の好循環につながる港湾施設の整備では、徳島小松島港「赤石地区」におけるコンテナ船と貨物船の同時接岸や、大型クルーズ船との共存に向けた施設整備が必要とし、岸壁延伸の早期着手を求めた。この他、耐震強化岸壁の空白地帯とされる日和佐港「恵比須浜地区」の強靱化が必要とし、耐震化など港湾施設整備に必要な予算の確保を要望した。
一方、四国地整からは「自然災害における市町村技術職員の育成等自治体支援体制の具体的取り組み」「既存ダムの洪水調節機能の強化」「新たな広域道路交通計画の策定」「本四高速の利用促進」「『四国港湾ビジョン2040』を踏まえた地域港湾の連携」「クルーズ船」−の大きく6項目を議題に局としての立場や考え方を説明し、県に理解協力を求めた。
提供:建通新聞社