東京都が設置した「東京高速道路(KK線)の既存施設のあり方検討会」(座長・出口敦東京大学大学院教授)は、KK線を公共的な歩行者空間へと用途転換する際の整備費について、民間資金を活用する方向で検討している。現行の道路と同様に無料で供用することを前提に、屋上への広場の整備や高架下ビルの増改築などを実施する際の整備費を確保する必要がある。7月28日に第4回会合を開き、現在の管理・運営を担っている東京高速道路が自己資金で整備する場合と、近隣の民間開発に併せて他の事業者が整備する場合など、それぞれのメリットと課題を示した。
KK線は、中央区銀座8丁目(蓬莱橋)〜銀座1丁目(新京橋)間を通る総延長約2`の自動車専用道路。躯体の構造は鉄筋コンクリート造。14棟のビルの屋上が13の橋梁でつながっている。
都有地を東京高速道路会社(中央区)が借りて築造し、1966年に全線の供用を開始した。東京高速道路はビルテナントからの賃貸収入を道路と建物の管理・運営費に充て、道路を無料で一般に供用している。
同検討会では、KK線の将来像について、既存の高架は保全し、上部空間をユニバーサルデザインの歩行者を中心とした公共空間として再生する方向で議論を進めている。
道路廃止後も引き続き無料で使用することを前提に用途転換する場合は、@東京高速道路の自己資金A隣接開発の民間事業者がKK線の建物と一体開発B隣接開発の事業者が域外貢献対象としてKK線を整備―の三つのパターンが想定できるという。それぞれの事例を判断材料として提示した。
自己資金の場合は、充当できる自己資金量に応じた整備になるため、整備スピードが遅くなるという課題がある。
他の開発に併せて整備する場合は、開発事業者の方針によって隣接開発とKK線建物を1棟に集約するケースと、別々の2棟にするケースが考えられる。開発区域内の整備を一度に進められるものの、底地である都有地が開発区域に含まれるため、土地の扱いが課題となる。
域外貢献として開発する場合は、どこまでの範囲を貢献対象に含まれるか検討する必要がある。
検討会ではこの他、既存施設の活用に向けた考え方を提示。高架上に積載可能な荷重は、1平方b当たり平均約400`。みどりを整備する場合は軽量化を図り、高木は風の影響を考慮する必要がある。水景施設については、小規模な水面や噴水などの設置が可能。低速で走行する次世代モビリティを導入できる空間づくりに向け、車両の種類と走行エリア、歩行空間との分離方法などについて、具体的な検討が必要だとした。
提供:建通新聞社