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建設経済新聞社
2020/07/28

【京都】文化財保存活用計画地域計画案 令和3年3月に国へ認定申請

 京都市は21日、文化財の保存活用のマスタープランとなる文化財保存活用計画地域計画案をまとめ、明らかにした。今後、文化財保護審議会の審議などを経て、令和3年3月に国への認定の申請を行い、7月の計画認定を目指す。
 文化財保護法が平成30年6月に改正され、都道府県は文化財の保存・活用に関する総合的な施策の大綱を策定できる。また大綱を指針として市町村は地域計画を策定できる。京都府は令和2年3月に大綱を策定。令和2年度は、文化財の活用に向けた調査を進める。
 京都市の地域計画案は、計6章で構成。第1章は京都市の概要、第2章は京都文化遺産の概要、第3章は京都市の歴史文化の特徴、第4章は京都文化遺産の維持継承に関する課題・方針等、第5章は京都文化遺産の維持継承に関する措置、第6章は京都文化遺産の維持継承に関する措置の推進体制。
 計画期間は令和3年度から令和12年度までの10年間。
 基本理念に「京都のまちと暮らしを楽しむことにより、京都文化遺産を千年の未来に伝える」を掲げ、基本方針に「1見つける(価値を調査する)、2知る(身近に感じ、価値を知る)、3守る(価値を維持継承する)、4活かす(価値を活かし保存に役立てる)を設定した。
 主な取組をみると、戦後建築や農山村の民家建築の調査の実施(モダニズムや数寄屋建築等の戦後建築、農山村の民家建築について、その所在を明らかにし、維持継承の機運を高める)、町家・近代建築の追跡調査の実施(既に調査されている町家や近代建築等で急速な消失が懸念されるものについて追跡調査により消失の状況を明らかにし、保存への機運を高める)、文化財検索システムの構築(市内の文化財の一元的なリストを整備するとともに、ホームページ上で検索できるシステムを構築する)、歴史的風致形成建造物の指定の推進、京都を彩る建物や庭園への選定、京都文化遺産の置かれた状況に応じた維持継承の方策の検討(未指定の京都文化遺産について、まちづくりや観光の施策との連携により置かれた状況に応じた維持継承を進める。その一環として、「有待庵」の維持継承の方策の検討を進める)。
 市が所有・管理する文化財、文化財公開施設等について、@文化財公開施設の本格的修理等の推進では、▽無鄰菴▽元離宮二条城▽旧三井家下鴨別邸▽祇園祭山鉾館▽史跡岩倉具視幽棲旧宅において、保存活用計画の作成等を進めるとともに、計画的な修繕を行う。
 A史跡公有化、整備の推進では、▽山科本願寺▽鳥羽殿跡▽平安宮跡、内裏跡、朝堂院跡、豊楽院跡▽樫原廃寺跡▽乙訓古墳群(芝古墳)▽醍醐寺境内(栢社遺跡)▽西寺跡において、国の指定を受けた史跡等の買上げを行い、市民に親しまれる史跡公園等として整備する。
 B身近な環境学習の場としての深泥池の保全では、「天然記念物深泥池生物群集保全・活用のための基本方針」に基づき、調査事業を継続しながら、池の生態系改善に取り組む。
 C名勝雙ヶ岡、史跡御土居の再整備では、市民をはじめ多くの人々に親しんでもらえるよう再整備を行う。
 D上ノ山古墳公園の整備では、重要史跡である上ノ山古墳を歴史公園として再整備する。
 E京都文化遺産の保管施設の確保では、市が有する貴重な埋蔵文化財、美術工芸品、歴史資料、民俗資料等の保管や、民間が所有する京都文化遺産の災害時の受入先となる施設の確保を図る。文化財やそれに匹敵する価値を有する京都文化遺産を確実に守ることのできる恒温、恒湿の特別収蔵庫の確保に向けた検討を進める。
 また世界遺産「古都京都の文化財」包括的保存管理計画に基づき、市内14ヵ所の構成資産の周辺環境の適切な保全を行う。
 このほかでは、京都文化遺産の所有者による保存活用の取組を支援する団体を文化財保存活用支援団体として指定することで、その活動の一層の促進を図る。
 防災対策重点強化事業として、市指定・登録文化財に対する自動火災報知機の設置や更新、防犯カメラの設置に対する補助の拡充や、消火器の設置に対する補助の新設など、文化財の防災・防犯対策の重点的な推進を図る。
 故意による文化財の毀損等の抑止を図るため、京都市文化財保護条例に係る罰則の強化等を検討する。
 世界遺産や歴史的建造物の周辺地域で、石畳風舗装等景観に調和した道路整備を進める。