香川県農政水産部は、2019年度に再選定した防災重点ため池の調査や改修、耐震対策を推進する。決壊した際の影響や優先度を考慮し、市町と調整しながら耐震性点検調査を進めるとともに、対策が必要と判断した箇所で改修や耐震化などの対策を順次講じていく。農業用ため池の決壊を防ぐ工事を推進するため今年6月に成立した「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」の活用も視野に今後の事業を進めていく考え。
香川県内には全国(約16万カ所)の7・1%を占める1万4619カ所のため池があるが、江戸時代末期には既に6500カ所を超えていたとされ、多くのため池の老朽化が進んでいる。農業用水の安定確保と防災の観点から早急に改修が必要なため池が増加している。
そこで、県は1966年に「老朽ため池整備促進計画」を策定し改修等の事業を開始。現在は2018年度にスタートした「第11次5か年計画」に沿って、老朽ため池の整備(改修)やため池の耐震化、中小規模ため池の防災対策を進めている。19年度には、国の新たな選定基準に基づき、市町と協議した上で「防災重点ため池」として5849カ所のため池を再選定した。
これを踏まえ20年度は、県営ため池耐震化整備として貯水量10万立方b未満の中小規模ため池の耐震化を東讃地区など4地区で継続するとともに、香川地区で耐震性点検を実施。県営ため池等整備事業(一般型)で砥石川池地区など新規6地区を含む17地区、県営ため池等整備事業(地域ため池総合整備事業)で綾川など12地区(新規1地区)の老朽ため池整備を進める。
特措法では、ため池の劣化状況評価や豪雨・地震への耐性評価を行い、優先的に防災工事を進めるため池を絞り込むことを盛り込んでいる。県では19年度に選定した防災重点ため池の追加指定は考えていないものの、国の支援内容を確認し、その活用も視野に今後の事業を推進する方針だ。
提供:建通新聞社