横浜市は旧上瀬谷通信施設の跡地利用に関連して整備する「上瀬谷ライン」を、地下式+地表式の軌道・駅舎を持つ新交通システムとする。7月21日に縦覧を始めた環境影響評価(アセス)の方法書で明示したもので、軌道・駅舎の概算費用を約410億円と見積もった。月内にも委託する基本設計業務で各種検討を進め、2020年度内に軌道特許申請のための図書をまとめる。都市計画決定や軌道法の工事施行認可などを経て22年度に工事をスタート。26年度内に完成させて、旧上瀬谷通信施設の一部を利用した国際園芸博覧会の開催(27年3〜9月)につなげる。
上瀬谷ラインは相模鉄道本線・瀬谷駅(起点)と旧上瀬谷通信施設(終点)を結ぶ新たな交通。環状4号線(瀬谷区)を導入空間に延長約2・6`の複線軌道と2駅を設け、最大8両編成の車両を上下線合わせて1日に414本運行する。旧上瀬谷通信施設内に面積約5・1fの地表式車両基地も造る。
19年度に日本交通計画協会(東京都文京区)で概略検討を進めるとともに、今年1月に公表したアセスの計画段階環境配慮書で▽地下式+地表式▽高架式+地表式▽地下式+高架式▽高架式―の4パターンの軌道・駅舎構造形式を提示。起点側の沿線市街地に与える影響やコストを踏まえ、その中から地下式+地表式を最適案とした。また、旧上瀬谷通信施設の跡地利用で見込まれる交通需要に応えられる輸送力、定時性・安定性の確保といった面から新交通システムを選んだ。
起点側の地下式区間は延長約1・9`。2面1線の「(仮称)瀬谷駅」など箱型トンネル約0・2`(幅約11〜24b×高さ約6〜15b、開削)と、軌道の円形トンネル約1・7`(幅約11b×高さ約7bの長円、シールド)で構成させる。概算費用を約330億円と見積もった。
一方、終点側の地表式区間は約0・7`。地下式区間から地上に出るまでの擁壁約0・1`(幅約11b×高さ約1〜6b、開削)と、軌道や2面3線の「(仮称)上瀬谷駅」の土工部約0・6`(軌道幅約14〜24b、駅舎幅約26b×高さ約12b)で構成させる。概算費用を約80億円と見積もっている。
工事工程は▽準備工=22〜23年度▽(仮称)瀬谷駅箱型トンネル=22〜25年度▽円形トンネル=22〜24年度▽地下〜地表切り替え部の箱型トンネル・擁壁=23〜24年度▽(仮称)上瀬谷駅を含む土工部=23〜24年度▽車両基地=24年度▽設備関係=24〜26年度―としている。
基本設計業務の委託先は公募型プロポーザル方式で選定中。21年3月17日を期限に土木・軌道・建築・電気設備・機械設備・車両・車両基地に関わる基本設計を行い、概算建設費や概算工事工程を練って軌道特許申請図書を作成する。市内で運行している新交通システム「金沢シーサイドライン」の技術的知見も参考に検討の深度化を図る。
提供:建通新聞社