近畿地方整備局は14日、淀川水系関係6府県調整会議を大阪市中央区の大阪合同庁舎で開催《=写真》。淀川水系の河川整備について関係府県と意見交換した。
頻発する豪雨災害を受け、流域全体で河川整備の更なる推進を求める機運が高まり、気候変動を踏まえた河川整備が求められる中、河川整備にあたっては広域的な調整が必要となることから、河川管理者の近畿地整と関係府県が河川整備の方向性を調整するのが調整会議の目的。
調整会議で滋賀県の吉田秀範土木交通部長は、琵琶湖の水位上昇を速やかに低下させるため天ケ瀬ダム再開発の早期完成、鹿跳渓谷を含む瀬田川河川改修の早期実施や、大戸川ダムの本体工事の早期実施、大津市街地の浸水被害軽減のため大津放水路の2期区間の早期実施などを要望。京都府の富山英範建設交通部長は、桂川の嵐山地区の左岸溢水対策の早期完成とともに、一の井堰改築と派川改修の着手、府管理区間の亀岡地区の霞堤の嵩上げ実施に続き、保津峡の流下能力向上の具体的な検討や、木津川の堤防強化と樋門整備、天ケ瀬ダム再開発の早期完成などを求めた。
近畿地整は、府県からの依頼事項を5項目(@気候変動を踏まえた河川整備の対応の考え方を示してほしい(滋賀県、京都府)A今後の淀川水系における河川整備メニューを示してほしい(滋賀県、京都府、大阪府)B事業の優先順位・進め方を示してほしい(滋賀県、京都府、大阪府)C大阪府域の治水安全度を低下させないような整備順序を示してほしい(大阪府)D大戸川ダムの治水効果を示してほしい(大阪府)に整理。回答をとりまとめ示した。
主な内容をみると、河川整備計画を見直す場合の目標の考え方案は「淀川本川における現在の治水安全度を堅持することを前提に、現計画を超える規模となった平成25年台風18号洪水を安全に流すとともに、現計画を超える規模の洪水が発生していない河川においても、着実に安全度を向上させる。これにより気候変動による降雨量増大にも資する」。
河川整備計画を見直す場合の目標を達成するために必要な主な事業(a・現行計画目標達成に必要な事業、b・目標を変更する場合に新たに必要な事業、c・実施時期や実施手順を個別に判断し順次実施する事業)、について、淀川は(a・河道掘削44万m3、阪神なんば線橋梁架替、b・河道掘削300万m3、下流橋梁架替、c・高規格堤防、毛馬排水機場更新、淀川大堰閘門設置、支川(芥川)改修、堤防強化)、宇治川は(a・天ケ瀬ダム再開発、大戸川ダム、b・河道掘削20万m3、c・大島樋門改築、堤防強化)、桂川は(a・河道掘削200万m3、嵐山改修、b・河道掘削300万m3、ダム再生、c・堤防強化)、木津川下流は(a・−、b・河道掘削18万m3、c・堤防強化)、木津川上流は(a・木津川改修(上野遊水地関連含む)、名張川改修、川上ダム、b・木津川改修、名張川改修、宇陀川改修、ダム再生、c・堤防強化)、瀬田川は(a・瀬田川鹿跳改修、b・−、c・瀬田川洗堰改築、大津放水路2期、堤防強化)、野洲川は(a・−、b・河川掘削2万m3、c・河川防災ST整備、堤防強化)、猪名川は(a・河道掘削10万m3、b・猪名川改修、ダム再生、c・堤防強化)を示した。また流域全体で治水対策に取り組む「流域治水」への転換を進めるとした。
淀川本川で示した下流橋梁架替については、橋梁管理者との調整を経て調査・検討の上で実施することとし、支川で示したダム再生は近年洪水も踏まえたリスク低減のために利水者等との調整を経て調査・検討の上実施するとした。
aの京滋関係は、天ケ瀬ダム再開発(令和3年度完成)、大戸川ダム、淀川河道掘削、桂川河道掘削、嵐山改修、木津川改修、瀬田川鹿跳改修など。
bの京滋関係は、淀川下流橋梁架替、淀川河道掘削、宇治川河道掘削、桂川河道掘削、木津川下流河道掘削、木津川改修、野洲川河道掘削、日吉ダム再生、木津川ダム群再生など。
cの京滋関係は、宇治川(大島樋門改築)、瀬田川洗堰改築、大津放水路2期、野洲川河川防災ST整備など。
次回調整会議は10月以降に開催予定。