土砂災害防止法 県内初の緊急調査 7月豪雨で公共土木施設などに被害 佐世保市小川内町で発生した地すべりの範囲を明らかにすることを目的に、県は県内で初めて、土砂災害防止法に基づく緊急調査に踏み切った。今後、現地調査や観測などを行い、結果を公表。市町の避難勧告や避難指示、住民の自主避難の判断基準として利用してもらうのが目的だ。記録的な大雨となった7月豪雨は県民生活に大打撃を及ぼした。14日午前10時現在、公共土木施設260カ所、がけ崩れ42カ所、地すべり1カ所などで被害が確認されている。
土砂災害防止法とは、がけ崩れや土石流、地すべりといった土砂災害から国民の生命及び身体の保護をするため、土砂災害が発生するおそれのある区域を明らかにし、警戒避難体制の整備や、一定の開発行為の制限、及び建築物の構造規制を行うもので、2000年5月に公布、翌01年4月から施行された。佐世保市小川内町で発生した地すべりは、幅約110bにわたり斜面地が崩れた。大規模であり、土砂災害が発生するおそれのある区域を明らかにする必要があると判断。同法に基づき、県が県内初となる緊急調査に着手することとなった。
【公共土木260カ所 林地や林道施設でも】
県が14日午前10時時点でまとめた被害状況によると、対馬市で1人死亡。このほか住家被害186棟(一部損壊3棟・床上浸水20棟・床下浸水163棟)、非住家被害4棟(全壊2棟・一部損壊2棟)が確認された。なお住家被害に関しては大村市で引き続き調査中となっている。
公共土木施設の被災数は全260カ所。地方機関別に見た内訳は河川142カ所(長崎12・県央117・県北12・島原1)、道路101カ所(長崎23・県央37・県北27・島原9・上五島1・壱岐4)、港湾2カ所(長崎2)、砂防1カ所(県央1)、漁港・海岸施設14カ所(長崎4・県央1・五島1・対馬8)となった。
また、その他の土木関係被害としては、がけ崩れ42カ所(長崎市12・佐世保市7・諫早市2・大村市14・平戸市2・松浦市3・東彼杵町1・新上五島町1)、地すべり1(佐世保市1)となった。
このほか、農林業関係被害では、農地282カ所、農業用施設138カ所で被災。林地や林道施設等では、林地崩壊7カ所、林道施設等4カ所で被害が確認されている。