県県土整備部河川整備課は、砂浜の後退が進む九十九里浜全域を対象とした「九十九里浜侵食対策計画」を策定した。2020〜49年の30年間に事業費約340億円を投入し、砂浜幅40mを確保することを目指す。事業は養浜とヘッドランド等の施設整備を組み合わせて実施し、養浜は九十九里浜沿岸の漁港周辺に堆積している砂を活用する。事業期間は1期10年とし、3期に分けて実施することとし、20年度からの第1期実施計画を合わせて策定した。
養浜は年9万立法メートル(北九十九里2万立法メートル、南九十九里7万立法メートル)を実施する。施設整備は北九十九里(飯岡漁港〜片貝漁港)でヘッドランド縦堤延伸2基、南九十九里(片貝漁港〜太東漁港)で離岸堤7基、ヘッドランド(改良含む)9基を整備する。北九十九里のヘッドランドは、匝瑳市の9号、11号ヘッドランド縦堤を延伸。南九十九里の離岸堤は、九十九里町に3基、大網白里市に1基、白子町に2基、長生村に1基をそれぞれ整備する。
このうち1期では、北九十九里において、旭市の飯岡海岸で離岸堤天端嵩下げ・撤去1基、匝瑳市の9号ヘッドランド・11号ヘッドランド間の縦堤延伸を実施。南九十九里では、白子町の中里海水浴場と長生村の一松海水浴場の離岸堤各1基を整備する。堆砂が進んだ飯岡海水浴場周辺では、過去に整備した離岸堤群の一部天端嵩上げ・撤去により、堆積した砂を波の力で下手側に流すため、離岸堤1基を撤去する。
養浜は年8・5万立法メートル(初期4万立法メートル)を確保。九十九里町の白里海水浴場で年0・25万立法メートル、白子町の中里海水浴場で年0・87万立法メートル(初期2万立法メートル)、長生村の一松海水浴場で年2・5万立法メートル(初期2万立法メートル)、一宮町の一宮海水浴場で年3万立法メートル。
養浜土砂の採取地点は、旭市の飯岡漁港で年2万立法メートル、九十九里町の片貝漁港で年5・39万立法メートル(初期4万立法メートル)、一宮町の太東漁港で年1・11万立法メートルを予定する。
養浜土砂の採取地点は、安定的な供給が可能な漁港航路・泊地や漁港に隣接する海浜部の堆積土砂を基本とし、土砂採取地点と養浜地点はなるべく運搬距離が短くなるようにする。
事業は、知事が定める「千葉東沿岸海岸保全計画」に侵食対策計画の対策内容を反映させ、進めていく。また、計画に基づき実施した対策の効果や影響を検証し、必要に応じて計画の見直しを実施する。
九十九里浜では、全体60qのうち、海岸侵食の著しい区間で侵食対策を実施してきたが、事業区間以外にも侵食が拡大してきたことから、学識経験者、沿岸9市町村長、漁業関係者などで構成する「九十九里浜侵食対策検討会議」を設置し検討を行い、九十九里浜全域を対象とした同計画をまとめた。