国土交通省関東地方整備局は、入札不調・不落対策として公募型指名競争入札(総合評価落札方式)による工事発注を全国に先駆けて試行する。対象は比較的難易度の低い76工事で、一般土木を中心に幅広い工種に適用する。指名に際して技術者要件を定めず、提出書類も大幅に簡素化。応札者の事務負担を軽減し、積極的な入札参加を促す。
通信設備工事の初弾として6月30日に「R1利根川下流管内CCTV設備設置工事」、アスファルト舗装工事の初弾として7月6日に「R2上里地区外交通安全対策工事」の手続き開始を公示。この2件を含めて第2四半期に66件、第3四半期に7件、第4四半期に3件を発注する。
予定工事を工種別に見ると▽一般土木40件▽維持修繕10件▽建築7件▽通信設備5件▽アスファルト舗装3件▽機械設備3件▽受変電設備3件▽電気設備2件▽暖冷房衛生設備1件▽法面処理1件▽塗装1件―となる。一般土木に関しては「BまたはC」「C」等級の工事に適用する。
公募型指名競争入札では、手続き開始の公示後、工事参加希望の意思確認と技術資料の提出を求める。公募した事業者の中から指名基準に基づいて指名競争を行い、総合評価落札方式で受注者を決定する。
企業に施工実績などの参加要件を求める一方で、技術者要件を定めず、受注者の参加意思表明のハードルを下げる。これにより、技術者関係の書類の提出も不要となる。提出書類をおおむね10枚以内とし、通常の一般競争入札の3〜4分の1程度に簡素化する。
また、指名通知から落札決定までの期間を2週間程度に短縮し、入札執行を円滑化する。
通常の公募型指名と異なり、総合評価を導入することでダンピング対策を講じる。「企業の施工能力」の項目で、過去5年間に行った行政機関との災害協定に基づく災害活動実績に最大10点を加点することとした。災害から地域を守る建設企業の取り組みに対するインセンティブを高める。
関東地整は不調対策としてこの他、複数の類似工事がある場合は公募型指名競争を応用したフレームワーク方式を試行している。
提供:建通新聞社