建通新聞社(東京)
2020/07/02
【東京】都 公共施設の整備・管理で危機管理策検討
東京都技術会議(座長・佐藤伸朗都技監)は、新型コロナウイルス感染症の影響下おいて、公共施設の整備・管理を適切に継続していくための方策の検討を始める。6月30日に開いた会合で小池百合子知事は、激甚化する災害から都民の命を守り、コロナ禍でもインフラや公共施設の整備・維持管理を適切に行うために「建設会社など中小企業を支援して経済を下支えする必要がある」と訴えた。公共事業を継続するためには受注者の事業環境にも配慮する必要があるとし、週休2日工事の推進や適性工期の確保などに向けて取り組むことを確認した。
冒頭、あいさつした小池知事は「社会の構造的な課題を解決するためには、技術的な観点から施策を展開する必要がある」と語った。「都市活動や都民生活を支える社会資本の充実に携わる技術系職員が都政で果たす役割が今まで以上に重要になっている」と強調し、新型コロナウイルス感染症の影響を反映した検討を進める方針を示した。
公共施設整備・管理の継続を目的とした危機管理強化に向けては、工事現場などでの感染予防と感染拡大の防止に取り組む。例えば、現場管理にウエアラブルカメラを導入し、現場と事務所が情報を共有することでリアルタイムに報告・確認・指示ができる仕組みを整えたり、テレビ会議の活用などを進める。
また、円滑な事業執行に向けて、受注者の長時間労働の是正を図る。週休2日工事のための適切な工期設定と経費の計上、工事・委託の施工時期の標準化を推進。適正工期の確保と早期発注にも引き続き取り組む。
加えて、工事書類の削減・簡素化、行政手続きのデジタル化などで各種手続きの効率化を目指す。
街づくりへのICT活用・デジタル化についても議論する。AI技術を使った公共施設の整備・管理や、自動走行モビリティの導入、都市の3Dデジタルマップ化などを進め、街の付加価値向上や課題解決につなげたい考え。
会議ではこの他、都庁技術者の人材確保と育成について、「ウィズコロナ」の視点も踏まえて検討する。AI、ビッグデータ、IoTなどの導入に向けた技術職員の情報活用スキル向上を図るため、ウェブ研修や講習会を実施する予定だ。