北海道建設新聞社
2020/07/01
【北海道】コロナで太平洋設備のアクアベール閉館/土地と建物売却へ
太平洋設備(本社・釧路市、小茄子川充社長)は、新型コロナウイルスの影響で4月から営業を休止していた宴会場などを備えるアクアベールを30日に閉館する。テナントが1者残っているため具体的な時期は未定だが、土地建物込みで売却する方針だ。
現施設は釧路の中心部に当たる栄町8丁目3で、1972年に建設された。増築を経てRC造、4階、延べ2936uの規模となった。
同社は2009年6月に元の所有者である釧路日商連から1159uの敷地とともに建物を購入し、従業員も引き継いだ。飲食事業部を設けて同8月に運営を開始。2、3階の大人数収容ホールを中心に宴会や会合などを受け入れ、13年には1階に直営のレストランも開店させている。
新型コロナウイルスの影響で2月末ごろからキャンセルが出始め、3月は前年同月比1000万円ほど売り上げを落としたものの、同月末締めの19年度決算は売上高約1億7000万円で黒字を確保した。
しかし、その後キャンセルや利用客の減少が拡大したため、レストランは4月19日、本館は同25日から全面休業。再開の道を模索したが、閉館することとした。飲食事業部門からは完全撤退となる。
休業中も給与を支払ってきた従業員16人(うちパート3人)に対しては25日に7月末での解雇を通知したが、本人の意向によっては人手が不足している同社の土木水道事業部門で再雇用する可能性もある。
黒字経営続きながら再開を断念した理由に関し、中村峰昭管理部長・飲食事業部長は、例年売り上げが大きい歓送迎会や総会のシーズンを逃した上、完全な収束が見込めない中ではクリスマスや忘年会の見通しも立たないと強調。また、大皿での料理提供中止、密集を避けるための収容人数削減など、運営コストの大幅増加が予測される状況では今後の利益確保が困難と説明する。
その上で「緊急事態宣言が全面解除され、居酒屋などは家族や小規模な団体利用を中心に客が戻っているようだが、不特定多数の参加になりやすい中規模以上の宴会を開くムードにはなっていない。レストランは個人利用もあるが、主力はやはり貸し切り宴会のため再開を諦めた」と話している。
P 土地付きでの売却が見込まれるアクアベール