四国の持続可能な発展に向け、港湾の果たす役割や今後の施策展開を検討してきた四国港湾ビジョン検討委員会(座長・磯部雅彦高知工科大学学長)は、6月19日に開いた3回目の会合で、20年先を見据えて国や港湾管理者、関係事業者らが取り組むべき施策を盛り込んだ「四国港湾ビジョン2040」の案をまとめた。施策展開の柱として「労働力不足に立ち向かう港湾」「地域に新たな価値を生み出す港湾」「自然環境の変化に対応する港湾」の三つを掲げるとともに、具体策として、立体化を含めたターミナルの整備や、老朽化・陳腐化した倉庫のリノベーション、臨港道路の嵩上げなど災害規模に応じた段階的な対策の検討を打ち出した。今後、事務局を務める国土交通省四国地方整備局がビジョンを確定し、施策展開につなげる。
20年先を見据えたビジョンでは、四国の港湾が果たすべき役割として「港湾による物流・人流の高度化」「港湾空間の活用による付加価値の創出」を掲げた。
その実現に向け、これまでに展開してきた施策にも取り組みつつ、特に推進すべき施策として「労働力不足に立ち向かう港湾」「地域に新たな価値を生み出す港湾」「自然環境の変化への対応する港湾」を打ち出した。
労働力不足への対応では、船舶の大型化や港湾施設の老朽化などを踏まえ、立体化を含めたターミナルの整備、機能の移転・集約による港湾空間の再編などを進めるとともに、フェリー・ROROターミナルで自動離着岸装置などの情報化技術を導入する。
地域に新たな価値を創出するため、老朽化・陳腐化した倉庫のリノベーションなどにより、居住空間や宿泊施設、飲食店を確保。さまざまな公共交通との連携も視野に、バースウインドウの予約管理システムの導入などを促す。
自然環境の変化への対応では、災害廃棄物の処理に対応した、がれきの仮置き場や最終処分場の確保、広域処理などの体制強化を図る。激甚・頻発化する災害への備えとして、臨港道路の嵩上げによる多重防護など、災害規模に応じた段階的な対策の在り方を検討する。
提供:建通新聞社