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建通新聞社(神奈川)
2020/06/29

【神奈川】横浜市 低入抑制へ辞退ペナ見直し検討

 横浜市は大型工事の低入札を防ぐため、辞退に対するペナルティー(指名停止措置)の見直しを検討する。国の工事ではペナルティーがないことから辞退者が多く、結果として低入札の抑制効果も働いていると見ているため。また、新型コロナウイルス感染症の軽症者らを受け入れている旧市民病院(横浜市宿泊療養施設)の解体工事を、2021年度以降に先送りする公算が大きくなった。6月26日の市会本会議で、林文子市長が草間剛氏(自由民主党・無所属の会)の一般質問に答えた。
 大型工事の低入札は19年度に発注したWTO対象の5件全てで発生。とりわけ、価格競争だった横浜港・新本牧ふ頭の地盤改良3件は落札率が約82%と、調査基準価格設定率の約95%を12ポイント以上下回っていた。
 草間氏は新本牧ふ頭の地盤改良の低入札を引き合いに、「関係団体からは利益率が1%しかないという話も聞いている。国のWTO対象工事では平均落札率が90%以上と高い水準で、市の落札結果とは差が出ている」などと指摘。市に低入札対策の実施を求めた。
 これに対し林市長は「低入札での落札となった場合は技術者の増員など厳しい対応を求めるとともに、正当な理由なく辞退した場合には指名停止を行う」と現在の取り組みを説明。その一方で「国では辞退しても指名停止にはならないため、市に比べ辞退者が多く、結果として低入札が抑制されている」との見方を示しながら、「国の運用等を参考にさらなる低入札対策を検討していく」と語った。
 旧市民病院(保土ケ谷区)は新市民病院(神奈川区・西区、5月1日開設)への機能移転を経て解体し、跡地を利用して三ツ沢公園の野球場を再整備する計画。20年度当初予算で31億円余りの解体経費(債務負担行為限度額含む)を確保しており、第3四半期のWTO一般競争入札で工事の施工者を決める予定でいた。
 ただ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、5月3日から軽症者らのための「横浜市宿泊療養施設」として活用している。 
 草間氏は、中区にある神奈川県の宿泊療養施設(アパホテル&リゾート横浜ベイタワー、2311室)が8月末で軽症者らの受け入れを終了する予定になっていることなどを挙げ、旧市民病院を活用した「横浜市宿泊療養施設の運営期間を年度内いっぱいまで確保する必要がある」と主張して、市の見解をただした。 
 林市長は「宿泊療養施設の開設についての決定権は都道府県にある」としながらも、「今後の市内や県下での感染状況等を見据えた運営期間の再検討が必要」と答弁。併せて、県施設の受け入れ終了を視野に「横浜市宿泊療養施設の10月以降の開設・運営の継続について県と協議していく」と述べ、解体工事の21年度以降への先送りを示唆した。

提供:建通新聞社