甲賀市は、仮称・甲賀北地区工業団地を含む市内11ヵ所にある工業団地や市街化区域にある産業立地可能な用地の台帳整備及び市内企業の事業拡張・市外企業の誘致のための産業用地拡張に向けた基礎調査を行う、「産業用地拡張検討調査業務」を、8月上旬ごろに発注する方針だ。
市内の既存工業団地には空き用地がなく、市内外の企業から立地の引き合いがあるものの対応できていない状況であることから、同業務で既存工業団地周辺の調整区域や市街化区域空閑地、都市計画区域白地等の分譲情報や開発のハードル等について整理し、産業用地候補地のデータベース化を図ると同時に、市内企業の立地情報・市内企業の業況などの企業情報のデータベース化を行い、市内企業の事業拡張や企業誘致につながる基礎データの把握に努める。
国は、新型コロナウイルスの影響によりダメージを受けたサプライチェーンについて、経済安全保障の観点から生産拠点の国内回帰や多元化を強力に支援することを表明。それを受け市は、強みである製造業の集積をさらに進める機会と捉え、既存工業団地等の産業用地拡張を図るための調査として同業務の発注を決定。製造品出荷額等が、1兆0257億円(平成28年工業統計調査より)と、10年以上連続滋賀県内1位に輝いている同市の製造業の更なる発展を目指し、供給可能な用地を把握し企業誘致を推し進め将来の雇用と税収を支える重要な地域経済の基盤強化に努めていく。
市の製造業を取り巻く環境を見ると、多くが量産工場であり経営決定権や研究開発機能がない事業所も多く、工場の拠点集約化や雇用環境の変化などにより市外へ流出するリスクや、工業団地だけでなく工業団地外に立地する企業においても、広大な市域に関わらず土地の利用規制等のため、設備投資による用地拡張や新たな企業立地のニーズに即時の対応ができないなどの問題を抱えている。そのような中、同業務で企業誘致や市内企業の事業拡張につながる基礎データを市が保有し、企業に対し即座に対応できるよう体制強化に努める同時に、新たに立地・設備投資する企業に対し固定資産税の優遇措置を拡充するといった新規施策発令に向けた条例改正等も実施し、製造業の更なる発展を目指す。
提供:滋賀産業新聞