近畿のマンション市場、コロナ禍の影響色濃く―。不動産経済研究所の分譲マンション市場動向によると、近畿圏の5月の新規発売戸数は、バブル崩壊直後の1991年8月に176戸だった以来29年ぶりの低水準となる214戸、契約率も92年3月の35・8%に次ぐ50%にとどまった。4月から5月にかけて続いた緊急事態宣言の解除まで6割超のモデルルームが休業したこともあり、新規発売や月間契約率にコロナ禍の影響が色濃く反映した。
新規発売戸数は4月の494戸からさらに減り、5月としては調査開始(76年)以来の最低水準となった。前年同月と比べると、大阪市部が96・3%減、神戸市部が96・4%減、京都市部が98・4%減となるなど京阪神の都市部での大幅減少が発売戸数を引き下げた。
契約率は前年同月と比べ17・7ポイントダウンし、92年3月以来の低水準。大阪府下が56・3%、兵庫県下が35%、滋賀県35・6%、和歌山県25%など周辺部での契約率の低さが影響した。
首都圏の契約率が72・3%の高水準だったのと比べ、近畿圏が大きく低迷したことについては「首都圏は地方デベロッパーが契約率を引き上げた。近畿圏は稼働日が少なかったこともあり、コロナ禍の影響を受けたというしかない」(不動産経済研究所大阪事務所笹原雪恵所長)のが現状。緊急事態宣言が解除された6月の新規発売戸数は1000戸を見込むが、契約率がどうなるかは見通せない状況が続きそうだ。
提供:建通新聞社