徳島市は、市文化センター跡地に計画している「新ホール建設事業」について、デザインビルド方式による事業者選定で決めていた優先交渉権者と次順位交渉権者の選定を撤回する考えを示し、4日開催の市議会まちづくり対策特別委員会に報告した。市は県にも説明し、今後の対応を検討していく考え。
優先交渉権者は大成建設グループ(大成建設、教育施設研究所大阪事務所、隈研吾建築都市設計事務所、アズマ建設)で、次順位交渉権者は鹿島・久米・姫野共同企業体。市は6月市議会定例会後に正式に通知することにしているが、両者にはすでに打診はしているもよう。
建設予定地にかかる県との土地交換協議中の昨年10月30日の優先交渉権者の公表に県が反発。同11月1日に飯泉嘉門知事が協議の無期限停止を表明してから事業が中断し、その後市が「計画地の一部が県有地ではなく市有地だった」と主張し、県も真っ向から反論するなど今後の進捗が見通せない状況となっていた。
こうした中、県市協調を掲げ初当選した内藤佐和子市長の下、県との協議が再開できる環境を構築することが重要と判断し、県が協議再開の条件とし市長の公約でもある事業者選定の白紙撤回に踏み切るもの。県へ全面的に歩み寄る格好だが、仮に土地交換協議などが無事成立し同地での事業が再開したとしても今度は白紙にした事業者選定の問題が残る。建設事業費も前年度末に限度額94億5000万円の債務負担行為が失効しており、再度議会に諮る必要がある。
一方で現在の計画地を疑問視する声やホールの計画席数に異論を唱える声、県市協調によるホール整備の声もいまだに少なからずあり、これらを踏まえた上で早期の新ホール整備を実現するためには、市には今後も慎重なかじ取りが求められることになりそうだ。
提供:建通新聞社