重要なライフラインである汚水処理事業を将来にわたって持続的に運営していくため、汚水処理に関わる香川県など21団体が香川県汚水処理事業効率化協議会を設立し、6月1日の書面決議による初会合で「広域化・共同化計画策定に向けた基本方針案」を承認した。全県的な組織・経営の統合ではなく、実施可能な範囲で広域化・共同化を進めることを基本に、公共下水道と農業集落排水の統廃合や、し尿の下水道投入、汚泥の集約処理、処理場・ポンプ場の維持管理業務の共同実施といった施策を検討し、2022年度末までに具体的なメニューを固める。
県では1996年に「全県域生活排水処理構想」を策定し、市町や広域事務組合と連携しながら、県内全域で下水道や農業・漁業集落排水施設、合併処理浄化槽などの汚水処理施設の整備を進めてきた。その結果、2018年の汚水処理人口普及率は、93年の26・2%を51・5ポイント上回る77・7%にまで増加した。
一方、汚水処理施設の運営を巡っては、人口減少に伴う使用料収入が減少する中で、施設の老朽化への対応や効率的な管理体制の構築が求められている。
こうした状況を踏まえ、汚水処理に関わる県と17市町、3広域行政組合が広域化・共同化に向けた協議を18年10月に開始。一定の方針がまとまってきたことから、下水道法に基づく法定協議会として、今回の汚水処理事業効率化協議会を設立した。
広域化・共同化計画の策定に向けた基本方針案では、共通の課題を抱える事業者が一体となり、実施可能な範囲で広域化・共同化を進めることを基本的な考えとする。
広域化については、中長期(5〜30年)の取り組みとして、広域下水道と農業集落排水との統廃合と、し尿の下水道投入を施策メニューに掲げ、統廃合による管理施設数の削減や既存施設の有効活用策を検討する。
共同化に関する取り組みでは、事務手続きとして、公営企業会計導入の共同実施を短期(5年以内)に、排水設備工事の指定や排水設備責任技術者の登録の一元化を中期(5〜10年)で実現することを検討。汚泥処理の集約処理を長期(10〜30年)の視点で実現させる。処理場・ポンプ場や管渠の維持管理については、それぞれ中期の目標として業務を共同発注し、スケールメリットを生かした経費縮減を目指す。
提供:建通新聞社