建通新聞社(東京)
2020/06/10
【東京】都 都道の無電柱化 既存ストック活用検討
東京都建設局は、地中管路やマンホールなどの既存ストックを活用した無電柱化の検討に着手する。「無電柱化整備対象路線の既存ストック活用検討業務」について、希望制指名競争入札の手続きに入った。区部の都道9路線をモデルに、既存ストックを活用して電線共同溝を整備するケースと活用しないケースを想定し、コスト縮減などの効果を比較検証する。6月15日まで希望申請を受け付け、7月9日に委託先を決める。
無電柱化の推進に当たっては、整備コストが課題の一つとなっている。現道内に電線共同溝を新設する際は、既存埋設物が地中で輻輳(ふくそう)しているため、移設工事に必要な費用と工期を確保する必要もある。
このため、既存ストックを電線共同溝の一部として活用する整備手法を導入できるかどうか検討する。すでに地中にある管路を使えば、ガス管や水道管などを移設する手間が軽減され、コスト縮減と工期短縮が見込める。
今回の委託では、都が「第7期無電柱化推進計画」で定めている無電柱化整備対象路線のうち、既存ストックがある区部内の9路線を抽出。1路線当たりの整備延長を平均2`程度と想定し、道路台帳や地下埋設物台帳などを基に、既存ストックを活用して電線共同溝を整備する場合と、活用せずに電線共同溝を設置する場合のそれぞれについて、標準断面計画図と計画平面図を作成し、概算工事費を各路線ごとに算出。支障移設工事費や事務費などを含めたトータルコストと総工期を比較する。
既存ストックがある路線で電線共同溝を整備する場合は、本体工事を電気・通信事業者などの既存ストック施設所有者に委託することも今後の事業推進策の一つとして視野に入れている。事業者が本体工事と引き込み連係管工事を一括して施工することで、工期を短縮することなどが可能だとみている。