香川県は、2009年度に事業中止した高松琴平電鉄(琴電)連続立体交差事業の都市計画について、廃止も含めた在り方の検討を開始する。学識経験者や事業関係者らで組織する検討委員会で、現状と課題を整理し、連立事業を存続または廃止した場合の交通対策やまちづくりの姿について比較検討するとともに、住民の合意形成の方策について検討し、その結果を基に県として都市計画の在り方をまとめる。
琴電連立事業は、高松市の中心市街地を南北方向に走行している琴電を高架化して地域の分断や交通渋滞・踏切事故を解消するとともに、新たな都市拠点と位置付けるサンポート高松に高松築港駅を移転することで交通結節機能を強化しようと1998年に都市計画を決定。琴平線(延長2586b)と長尾線(同956b)を高架化し、28カ所の踏切を除却する事業内容で、2000年3月に国の認可を得て県と高松市、琴電の3者が主体となり事業化した。
その後、琴電が経営破たんし、地価が下落したことで琴電の負担が増加。さらに県、高松市の財政状況が悪化したことで事業継続が困難になったため、県が05年度に事業を一時中止。当初計画の見直しも含めた複数案の検討を行ったものの、社会経済情勢や県の財政状況は好転せず、県公共事業再評価委員会による「事業中止」の答申を受けて09年度末に事業中止を決めた。
しかし、都市計画そのものは残っているため、区域内には建築制限などの制約があり、今後のまちづくりなどに影響を及ぼす可能性もある。
そこで県は、都市計画決定後の社会情勢の変化を踏まえ、改めて都市計画の在り方について、廃止も含めた検討を行うことにした。20年度はまず、決定時に想定していた交通対策やまちづくりの姿とこれまでの課題を確認するとともに、都市計画の見直しに当たっての手順や問題点を洗い出す。一連の検討業務は6月9日申請締め切りの公募型プロポーザル手続きを経て委託し、年度内に成果を得る。
21年度以降、これらの結果を基に、都市計画を存続または廃止した場合の交通対策やまちづくりの姿を比較検討し、住民との合意形成の方策についても検討した上で、都市計画の在り方について県の対応策をまとめる。
提供:建通新聞社