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北陸工業新聞社
2020/06/09

【富山】とやま新機軸/ゼロ県債の有効活用促進/富山県議会議長上田英俊氏/「安全・安心へ雇用の安定を」 

 10日から6月定例会が開会する。議会運営にあたり、「長い県議会の歴史の中で受け継がれる制度を十二分に生かすことが基本」との方針を示す。年8回開いている常任委員会の回数を増やすなど、「しっかり機能させ、より質問、提案できる場を整えていく」と活発な議論を促す。議会改革では、6月に経営企画常任委のインターネット録画配信を試行。2種類の広報紙も試行的に発行する。「有権者に対する活動報告等の投げかけであり、積極的に取り組む」と開かれた議会を推し進める。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、県内にも深刻な影響をもたらす。収束の段階に入りつつも、「感染対策の継続とともに、経済の落ち込みが厳しさを増してくると想定され、長丁場の対応になる」と指摘した上で、「安全・安心のスタートラインは安定した雇用から始まる。コロナの予防や治療と同様に、雇用の維持・確保が喫緊の課題」と社会経済活動の活性化に向けた支援拡充を求める。例年なら多くの観光客や団体で賑わう観光地の風景も様変わりし、「観光産業は裾野の広い産業。人口減少下において外から人を呼び込み、地域経済に大きな活力を与えてくれる」と捉え、立山・黒部や五箇山、富山湾などの観光資源を磨き上げ、魅力の発信を図る。北陸新幹線の敦賀開業が23年春に迫り、「大阪まで一日も早い開通を沿線自治体として強く働きかけていく」と時間短縮による交流人口の拡大に期待を込める。
 社会資本整備については、「自然災害を未然に防ぐ国土強靭化の観点からも公共事業は必要」と強調。建設業はインフラづくり、災害復旧などの役割を担い、「魅力ある業界であるとともに、経営の安定が求められる」と将来の担い手、安定的な予算の確保を図る。農地や用排水路の整備は稲刈り後に集中し、冬場にかけて作業環境も厳しくなる。代表質問でゼロ県債の導入を提案し、18年の11月補正予算において農林水産部所管の県単独農業農村整備事業で初めてゼロ県債が設定された。「年度内に発注でき、軽微な工事なら田植え前には完了する。発注の平準化、環境改善による品質向上などにつながる」と利点を説明し、事業効果の早期発現へゼロ県債のさらなる活用を求める。
 県立高校普通科の推薦入試のあり方を質したことを例に挙げ、「質問することによって政策が変わることがある。自ら調査して筋の通った提案をすれば、制度を新しくつくり、改定することができる。懐疑的な視点を忘れてはならない」とし、議会人として客観的に検証し判断する姿勢を説く。
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 うえだ・えいしゅん 早稲田大学政治経済学部卒。99年県議に初当選し、厚生環境常任委員長や副議長、防災対策等、産業基盤強化、次世代人材育成・確保の特別委員長など歴任。3月に128代(戦後74代)議長に就任した。入善町入膳。55歳。

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