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建通新聞社(中部)
2020/06/09

【愛知】愛知県 PFI事業で全国初の試み

 愛知県のPFI事業で全国初となる試みが始まる。対象事業は、BT(建設・移転)とコンセッション方式を組み合わせた「愛知県新体育館整備・運営事業」。試みは、事前に運営権対価を差し引いた形で、サービス購入料の提案を求めようというもの。県の担当課によると、サービス購入料(BT部分)と運営権対価(コンセッション部分)の契約手続きを一本化できる上、県の初期投資を減らすことができるメリットがあるとしている。
 BTとコンセッション方式を組み合わせたPFI事業はこれまでも全国各地で行われてきた。民間事業者が施設を建設し所有権を発注者に移転。その後、民間事業者が発注者から施設運営権を購入(運営権対価)し、施設を維持管理・運営しながら、利用料金などで収入を得ていく手法だ。
 ただ、現行のPFI法では、BTとコンセッションに係る規定が別条文となっていることから、BT部分(設計・建設費など)の契約と、コンセッション契約を別契約とすることが一般的となっている。
 今回の試みでは、県が事前に運営権対価を約100億円(運営期間30年間)と試算。BT部分となるサービス購入料(基本計画時の設計・建設費試算額約300億円)から運営権対価を差し引いた額を、予定価格(約200億円)として設定。事業者に提案を求めることとした。
 こうすることで契約手続きはサービス購入料の1回だけで済む。さらに県の負担額が約100億円減ることが分かる(図参照)。
 また、運営権対価は事前に差し引いているため、料金収入が計画を上回った場合でもコンセッションフィーが増えるといった設定もない。このため、民間事業者にとっては収入を増やした分だけ実入りが増えることになるといった利点が出てくる。 
 一方で、契約手続きとしてはサービス購入料の一本となるも、実質、運営権対価が含まれることになるため、担当課では「不調になった場合、原因の所在が分かりにくくなるデメリットもある」と見ている。
 今後、8月に入札公告し、事業者選定手続きが始まる。BTとコンセッションの契約を一本化する全国初めての試み、効果に注目したい。

提供:建通新聞社