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建通新聞社(中部)
2020/06/08

【愛知】名市 SRT事業計画案 20年度内目指す

 名古屋市住宅都市局は、新路面公共交通システムSRT(Smart Roadway Transit)で、第1期事業計画案を2020年度内にも取りまとめる考えだ。第1期事業期間では、新たな交通システムを市民の目に触れてもらうステップ≠ニ位置付け、名古屋駅起点のルート構築を目指す見込み。必要なインフラ整備は、公共工事で進めていくのが順当な方法となりそうだ。
 SRTは、快適な乗り心地やスムーズな乗降、洗練されたデザインなどを備える、タイヤベースのシステム。具体的には、停留施設と隙間なく停車できる正着制御や車内の揺れを軽減する加減速制御、移動しやすいフラットな社内、走行時にCO2を排出しない環境技術を盛り込んだ連節車両をイメージする。また、将来的には自動運転技術による隊列走行も視野に入れる。
 これまでに示した基本構想では、北側を出来町通、西側を椿町線、南側を大須通、東側を久屋大通で囲まれたエリアが路線の検討対象。将来的には、名古屋駅と大須地区、栄地区、名城地区をそれぞれ結び、各エリアを周遊できるようにする。新しい移動価値の提供を通じて『歩いて楽しい道路空間』を構築、都心の魅力を向上させるのがコンセプトだ。
 第1期事業期間における走行ルートは、本年度の検討を通じて決めていく方針。ただ、新たな交通システムを市民に認知してもらう必要があり、最初は名古屋駅を起点として、栄地区または大須地区、名城地区を結ぶルートのいずれか(または複数)の整備を先行するとみられる。
 名古屋駅はリニア中央新幹線開業に向け、駅前広場再整備に向けた準備が進む。駅東側では、当面の発着点をどこにするかもポイントとなりそうだ。JRゲートタワー1階にある市バスターミナルは候補の一つだが、建物内のため市民の目に触れづらい立地ともいえる。リニア新駅整備に影響が出ない箇所で、名駅前を代表する建物周辺だと注目も集まりやすい。
 新たな交通システムのため、走行空間や停留施設、待機場・車庫などのバックヤード施設の整備は、最初の段階となる第1期では全て民間事業者が整備するのは困難と同局はみている。そのため、第1期においては公共工事で施設整備を進めていくのが順当だと思われる。また、市民の目に触れてもらうために、運行間隔は10分に1本程度は必要とみている。
 本年度は、事業検討の他、社会実験の実施を計画している。社会実験では、既存の連節バスによる走行を2日間実施。自動車交通への影響や道路空間の利活用方策を検証する。社会実験は秋ごろの実施が有力だ。

提供:建通新聞社