一般社団法人福井県建築士会の先の20年度定時総会において、新会長に選任された横山義博氏を訪ねた。「人にやさしく、人に信用される士会へ」(就任時あいさつ)と強調する氏に改めて、会運営の抱負から展望、建築の魅力などまでを聞いた。氏は社会的な重責を感じつつ「一歩一歩前へ」と意欲を示した。
■今の気持ち
前任の歌門会長時代に副会長を務めた。総務委員会では、会全体の運営を。また、広報委員会では会誌「建築福井」を発刊し、人材育成をテーマとした特集がとても印象深い。若手メンバーを中心とした学生たちとの対話や、大工さんなど職人さんたちの率直な声も聞くことができた。みなさん素晴らしい腕(技術技能)と、誇りを持って仕事に打ち込む姿勢を実感できた。
■独自色
歌門会長は、研修事業にとりわけ意欲的に取り組まれ、人脈を広げた。私も、しっかりと受け継ぎつつ、若者の育成支援を重視したい。以前の終身雇用制度があった時代とは違い、昨今は社内の育成面が弱ってきているのではないか。経営者としても直ぐに転職されてしまうとムダな投資になってしまうため、抑えてしまう傾向に。そこで士会としては、代わって育成面を少しでも担うことができればいい。建築は、専門的な技術や知識があればできるものでもない。やはり豊かな人間性が大切。士会が人づくりの役割を担っていくことが求められる。
■五方よし
近江商人の心得、三方よしにならい、建築は「五方よし」が求められる。施主と設計、施工、職人、そして世間の調和が欠かせない。そのなかでも設計者(建築士)の役割は、とっても大きい。それぞれに利害関係があって難しいが、結局は人間力が大切。信頼される人かどうかだ。
■3会共同
ふくい建築賞の創設(ことし7年目)も、建築士会とともに建築士事務所協会と、日本建築家協会福井地域会の協力のたまもの。3会の目指すところは一緒。一般に公開し、作品を発表するなど、建築文化の向上に少しでも貢献できればいい。今後は、SDGsにも関心を高めていくことが必要と考えている。
よこやま・よしひろ
68歳 福井県に38年奉職し、建築住宅・営繕畑を歩む。県建設技術公社を経て、現在は一般社団法人健康生きがいサポート互助会(坂井市春江町いちい野)副代表。趣味は、家庭菜園など。