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日刊建設タイムズ社
2020/06/05

【千葉】地域・自治体と密接に/激甚化する気象災害に対応を/岩見洋一 江戸川河川事務所長

 4月1日に江戸川河川事務所長に就任した岩見洋一氏は「自治体、地域の皆さまと密接に連携を図り、総合的な治水対策を進める」として、堤防強化を進めるとともに排水機場、水門操作などの訓練を行い、近年激甚化している気象災害への対応に力を注ぐ。また、災害時に備えたハザードマップの作成、防災教育、自治体との連携の強化、分かりやすい広報活動などに取り組む考えを表明した。

 ――千葉県の印象等をお聞かせください。
 岩見 野田市は自然が豊かで環境が良く、住み良い場所であると感じています。県として見ると、農産物、工業製品、海産物などさまざまなものを幅広く産出しており、ポテンシャルの高い地域だと思っています。また、前任地が長崎県であったということもありますが、関東平野の山の無い光景を新鮮に感じています。

 ――就任にあたっての抱負と展望をお願いします。
 岩見 これまで河川を専門に北海道、宮城県、高知県、国外では東南アジア・ラオスのメコン河委員会事務局に勤務していました。直近の長崎県では県土木部長として、洪水到達時間が非常に短い河川などを所轄していましたが、今回、江戸川河川事務所では人口が多い首都圏で都市河川の管理、整備を担っていくことになります。本格的な都市河川に携わるのは初めてになるため、緊張しています。去年も台風15号や19号に伴う水害がありましたが、これを踏まえて治水・利水の強化を図りつつ、地域の皆さまのいこいの場ともなる川づくりを進めていきたいと考えています。

 ――2020年度の千葉県における取り組みなどを教えてください。
 岩見 江戸川右岸堤防は計画に対して幅が不足し、左岸堤防に関しても断面が不足しネックとなっている箇所があるため、引き続き浸透対策ならびに強化を行い、治水安全度の向上を図ります。また強化にあたり、河道を掘削し、その土を利用して整備を行っていきます。下流域に関しては、まちづくりと一体で進める高規格堤防を整備しており、今年度は市川市の下妙典地区、県外では東京都江戸川区の篠崎公園付近において推進していきます。また、3月10日に行徳橋の通行切り替えが完了しましたので、それに伴い旧橋の撤去を行います。また、去年の台風19号により被災した8か所の復旧事業を実施します。

 ――災害対応に関してはいかがですか。
 岩見 近年、気象状況の変化により災害が激甚化しています。常に想定以上の災害が来ることを考え、日ごろから防災に関して体制を整えておく必要があります。また、自治体との連携を素早くとるため、緊急事態時に各首長と直接連絡をするホットラインを構築しております。加えて、排水機場、水門など構造物が非常に多いので、点検や操作の訓練を行い、効果が発揮できるよう努めていきます。また、総合的な治水対策として『水防災意識社会再構築ビジョン』を自治体と連携しながら進めており、避難行動に直結するハザードマップの作成、防災教育の推進、防災ステーション、分かりやすい広報活動などを行っていきます。

 ――働き方改革、i―Constructionへの取り組みについて教えてください。
 岩見 若い方に建設業でより良く働いてもらうためには、働き方改革を待ったなしで進めていく必要があります。そのためには新技術による生産性向上が必要になると考えてます。i―Constructionもその有力な方策であり、堤防の強化に必要な盛土、河道の掘削、浚渫などの工事で活用できると期待しています。

 ――地域建設業への期待を伺います。
 岩見 被災時の応急対応は地元の建設業の方々が担っており、地域の建設業が健全に発展していくことは非常に重要であると考えています。発注者と受注者という関係ですが、常に意見交換を行いつつ、制度の改善や工夫につなげていきたいと考えています。

 ――趣味、習慣などを教えてください。
 岩見 旅行が好きです。今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり難しい時期ではありますが、一段落したところで千葉のいろいろなところを散策したり、登山などができればと考えています。k_times_comをフォローしましょう
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