明治安田生命保険相互会社(東京)は2日までに、金沢市南町にある「明治安田生命金沢ビル」の解体工事に着手した。施工は清水建設が担当、工期は来年3月末まで。新型コロナウイルス感染拡大で経済情勢が大きく変化する中、解体後の跡地に関心が高まる。
同金沢ビルは1971(昭和46)年に建設。既設ビルはSRC造地下1階、地上9階建て延べ約8800平方メートル。敷地面積は1980平方メートル。築後50年近くを経過し、老朽化したことに伴い、オフィスビルとしての機能が低下したため、昨年8月までにテナントの退去を求めていた。
同ビルの近隣エリアでは北陸新幹線の開業以降、新設ホテルの建設が進む一方、金沢市内ではオフィス不足も指摘されていたが、同社では「新型コロナの影響を含めて検討中で、現時点で開発方針を明らかにできないが、9月をめどに決定したい」(広報担当)としており、今後の動向が注目される。
金沢の目抜き通りである国道157号、百万石通り沿線は、2015年3月の北陸新幹線の開業以降、新設ホテルの建設ラッシュが一挙に進み、かつての金融ストリートがホテルストリートに変貌しつつある。
主な新築案件だけでも18年11月、旧三井住友信託銀行金沢支店跡に「ザ・スクエアホテル金沢」、19年1月に旧金沢東京海上ビル跡に「三井ガーデンホテル金沢」、旧北國銀行本店跡で現在建設中の「御宿野乃 金沢」などがあり、新築にリノベーション案件も含め、ホテル林立エリアとなっている。
新幹線開業効果が持続していた金沢も今年に入り、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で人の動きが止まり、ホテルストリートも閑散としている。高級感を持ったカプセルホテル「ファーストキャビン金沢百万石通」のファーストキャビン(東京)が4月、自己破産を申請するなど、経済情勢が一変。そんな状況下で明治安田生命金沢ビルの利活用はどうなるのか。老朽ビルが点在する南町界隈の今後の開発動向を占う試金石ともいえそうだ。