国土交通省関東地方整備局と管内の1都8県、5政令市は、「関東甲信ブロック土木部長等会議」を開き、当面の公共工事の執行の在り方などについて話し合った。新型コロナウイルス感染症を受けた国の緊急経済対策に「公共投資の早期執行」が位置付けられていることも踏まえ、各発注機関が、それぞれ公共工事の早期発注に努めることを改めて確認。具体的な取り組みとして、指名競争入札の活用や、現場技術者の配置条件の緩和などについても情報を共有した。
意見交換会の冒頭、国交省の東川直正大臣官房技術審議官は、「出勤回避などの感染対策により作業効率が落ちることも懸念されるが、入札契約上の特例措置も講じながら、できる限り早期に契約してほしい」と話した。その上で「地方公共団体の皆さまと知恵を絞り、公共事業の整備、維持管理の役割を果たしていきたい」とも述べ、円滑な事業の実施に向けた自治体の積極的な取り組みを呼び掛けた。
意見交換会では、2019年度補正予算や20年度当初予算に盛り込まれた公共投資の早期執行について、国・自治体間で取り組み状況を報告。いずれの発注機関もおおむね例年通りに発注手続きを進めていくことを確認した。
早期執行に向けた自治体独自の工夫についても紹介。栃木県が迅速な入札の実施に向けて、1億円未満の工事で指名競争入札を導入していることや、現場技術者の配置条件を緩和していることなどを説明した。
また、自治体と各都県の建設業協会などとの意見交換の状況も報告。協会側からは、当初の計画に沿った適切な発注の継続を求める意見が寄せられているという。また、資材調達や人手の確保などの施工能力に大きな支障はないとして、継続的・積極的な公共投資を求める声もあったことを説明した。
自治体側からは、各自治体がテレワークや時差出勤、通常の官庁以外に執務場所を分散するサテライト勤務に取り組んだことを説明。新型感染症を予防しながら、遠隔打ち合わせなどを活用して工事を継続できた事例を紹介した。意見交換会では、今後も感染症の第2波、第3波に備え、引き続き有効な対策の情報を共有することを確認した。
受注者の要望に基づく工事・業務の一時中止については、管内の全都県・政令市が国の通知に基づき対応。緊急事態宣言の解除を受けてほぼ全ての工事が再開し、事業執行上の影響は限定的だった。
会議は5月29日に管内の1都8県、5政令市が参加し、ウェブ会意義方式で開いた。
提供:建通新聞社