神奈川県は、2019年度発注工事における賃金実態調査の結果をまとめた。それによると、回答のあった全18職種の労働者平均賃金は、いずれも1250円以上(時給換算)の水準にある。最低賃金については、最も低い職種でも、最低賃金法の定め(1011円)以上の額が確保されていることが分かった。回答対象の労働者数が最も多かった「普通作業員」の平均は、前年度比64円増の2223円。また、公共工事設計労務単価(19年度)との比較では、「軽作業員」など4職種が上回っている。その一方で、「左官」など労務単価の7割に満たない水準の職種もあった。
実態調査は、昨年の11月から今年1月にかけて実施したもの。県土整備局発注工事の受注者と、その下請け企業が支払った賃金を調べた。その結果、対象事業者251社の84%に当たる211社が回答を寄せた。回答サンプルとなった労働者数は732人。
各職種の最高賃金と最低賃金を見ると、18職種のうち14職種で2倍以上の開きがある。賃金差が最も大きいのは「電工」の8441円で、「普通作業員」の7054円、「とび工」の5696円がこれに続く。
年齢や経験年数による賃金比較では、10〜20代の若年労働者よりも30〜50代、経験が浅い労働者よりも経験年数10年以上の労働者が高い傾向にある。
常勤や日雇いといった雇用形態による違いについて、比較できた10職種中、「特殊作業員」「普通作業員」「運転手(特殊)」「運転手(一般)」「土木一般世話役」の平均賃金は日雇いの方が高かった。元請け・下請け間の賃金の関係については、比較できた13職種中、「造園工」「法面工」「とび工」の3職種で、下請けの平均賃金が元請けを上回った。
また、前年度との増減を見ると、「造園工」など12職種が増加した一方、「橋りょう塗装工」など5職種が減少している(前年度データのない「橋りょう特殊工」を除く)。
調査ではこの他、公共工事設計労務単価との比較を行った。それによると、「運転手(一般)」と「左官」を除いて7割以上の賃金が支払われている。労務単価を超えているのは、「軽作業員」「橋りょう特殊工」「橋りょう塗装工」「土木一般世話役」の4職種。
賃金実態調査は、公契約条例の可否を含めた検討のため、13年度から行っているもの。
提供:建通新聞社