愛知県犬山市にある全国最大規模の農業用ため池の入鹿池が決壊した場合、その浸水被害は大口町など8市町全1万fに及ぶとする浸水想定区域図を愛知県農林基盤局がまとめ、5月13日に公表した。担当課は、関係市町に対してハザードマップを作成するよう働きかけていく方針だ。
同浸水想定によると、入鹿池の堤が決壊した場合、貯留水は、尾張富士の南側を西向きに流れ下り、犬山市の一部で決壊から30分以内に5bを超える浸水が発生するとした。10時間後には、大口町、扶桑町、小牧市から岩倉市、北名古屋市方面(名古屋市西区北端近く)にまで浸水が広がる。中でも大口町は町域全てが浸水し、最大浸水深は3b(国道41号沿い)に達する想定となっている。
入鹿池が満水状態の時に、レベル2地震(南海トラフ級)を超える地震が発生し堤体が破堤、貯水量の全量が短時間に流出するという条件でシミュレーションを実施した。
入鹿池は県北西部に位置し、犬山市、小牧市、大口町、扶桑町の受益地約600fにかんがい用水を供給している。既存規模は堤高25・7b、堤長724・1b、有効貯水量1518万立方b。入鹿池自体の耐震性について担当課は「南海トラフ級地震に対する耐震性はあり、200年確率雨量に対応した洪水放流施設も備えている」とした上で、「あくまで万が一を想定したものだが、関係市町には国の補助金を活用し、できる限り早期にハザードマップを作成してほしい。県としてもバックアップしていく」としている。
提供:建通新聞社