トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北陸工業新聞社
2020/05/12

【富山】24年度に本体着工へ/利賀ダム基本計画の変更案/整備局利賀/地すべり対策などで事業費増 

 北陸地方整備局利賀ダム工事事務所が開いた「第7回利賀ダム建設事業監理委員会」で、総事業費を現行計画から490億円多い、1640億円とする基本計画の変更案が示された。工期は2031年度までに見直した。ダム本体工事は2024年度から開始する。

 基本計画は1994年度に策定。現行計画は2009年度に変更されたもの。今回が2回目の見直しとなる。総事業費は現行計画では1150億円。490億円増の内訳は、現場条件や地質調査の充実に伴う地すべり対策といった計画内容の変更が約250億円のほか、物価変動が約145億円、完全週休2日制の導入など管理費が約18億円、工期延期が約36億円、消費税が約38億円となる。
 総事業費1640億円のうち、建設費は1534億2000万円と明示。この内訳は工事費1245億1000万円、測量設計費172億2000万円、用地および補償費72億8000万円など。
 工期は2022年度から2031年度に9年延びる。時期は、2019年度に転流工進入路となる河床進入トンネル工事に現地着手したため見通しが立った。着手から事業完了までに13年程度を要するとされている。
 スケジュールによると、工事用道路工事(1〜4工区、転流工進入路)を進め、2022年度に上流部で流れを変える転流工を着工。2024年度からダム本体工事に着手する。基礎掘削の後、2026年度から堤体工に入る。
 委員会には委員長の玉井信行東京大学名誉教授らが出席。冒頭、田村利晶事務所長が「昨年度、ダム本体工事に最も重要な河床進入トンネル工事に着手するなど着実に進捗している。予算は検証後、毎年1割程度増加しているが、今後もしっかり確保する必要がある。工事は安全を第一に考えながら計画的に進めたい」とあいさつ。事務局が事業の実施状況や基本計画について説明し、意見が交わされた。
 実際の施工にあたっては、新技術の活用などにより、コスト縮減に最大限努力することを確認。今後も地質などによる施工費の変更や物価変動により事業費が変動する可能性があるとし、増減について確認しながら、総事業費への影響の把握にあたる。
 基本計画の変更案は、県など関係機関と協議が行われる。
 利賀ダムは、南砺市利賀村の庄川支流・利賀川に計画される。洪水調節や工業用水の取水の役割を担う。形式は重力式コンクリートダムで、堤高112・0メートル、総貯水容量3110万立方メートル。民主党政権時代の2010年に事業が検証対象となったが、2016年に継続の方針が決定。事業費ベースの進捗率は約46%。本体工事は未着手で、工事用道路(11・7キロ)が約67%(7・8キロ)の進捗率となっている。

hokuriku