高知県は2020年度から29年度までの10年間を対象とする水道ビジョンを策定した。「安全」「強靭(きょうじん)」「持続」の観点から20の実現方策を示している。このうち「強靭」では、水道施設の耐震化に向けた目標数値を設定、強靭な水道システムの構築を目指していく。
県内の17年度現在での耐震化状況を見ると、浄水施設のレベル2地震動(L2)対応が28・9%、ポンプ場のL2対応が55・9%、配水池のL2対応が66・9%。管路全体の耐震管率は10・9%、導水管・送水管・配水本管を含む基幹管路の耐震管率は25・2%で、全国平均と同程度となっている。また基幹管路の耐震適合率は38・5%で全国平均より低い。
他の自然災害対策の状況を見ると、停電対策は全国の水道施設より進んでいるが、土砂災害対策では施設全体の13%が警戒区域内にあり全ての施設で対策ができていない。浸水対策では、全体の14%が浸水想定区域内にあり、そのうち33%で浸水災害対策を取っている。しかし、対策を取っていない施設のうち43%ではバックアップ機能を持っていない。
こうした状況を踏まえ、今回策定した水道ビジョンでは新たな数値目標を設定。耐震化計画の策定率については、19年度の85%から中間の24年度には90%とし、最終目標の29年度に100%を目指す。同様に浄水施設の耐震化率は29%→45%→60%、配水池の耐震化率は67%→80%→85%、基幹管路の耐震適合率は39%→45%→55%と設定している。
また土砂災害、津波、洪水に対しては土砂流入防止壁や防水扉の設置、水道施設の移設などの取り組みを進めることが急務だとした。
この他の実現方策を見ると、「安全」では作成支援ツールを活用した水安全計画の策定、更新制導入による指定給水装置工事事業者の資質向上など。「強靭」では水道BCPの策定、災害時対応体制の構築など、「持続」では簡易支援ツールなどを活用したアセットマネジメントの導入、市町村の意向を尊重しつつ経営統合を含めた広域化の検討などに取り組む。
提供=建通新聞社