東京都が設置した新型コロナウイルス感染症の相談窓口に寄せられる資金繰りや経営に関する相談が増えている。飲食をはじめサービス業からの売り上げ減少に関する相談が多くを占めるが、建設・製造業でも資材の輸入遅延などによって経営に影響が出始めた企業があるという。都が金融機関や業界団体などにヒアリングした結果からも、工事の中止・変更への対応や資材調達などについて不安の声が寄せられている。
新型コロナウイルス感染症によって事業活動に影響を受ける、またはその恐れがある中小事業者を支援するため、都は1月30日、産業労働局に「資金繰りに関する相談窓口」を、東京都中小企業振興公社に「経営に関する相談窓口」をそれぞれ設置した。加えて3月には「フリーランスを含む個人事業主特別相談窓口」を設置するなど、特別相談窓口を増やしている。
窓口で対応した1日当たりの相談件数は増加傾向にあり、1月30日〜2月5日の5日間は1日平均3・2件だったのに対し、3月31日〜4月6日には1日平均256・8件に急増した。観光業や運輸業、製造業、建設業、生活関連サービス業など幅広い業界から、売り上げの減少に伴い利用できる支援施策や融資について相談があった。
この他、都は30金融機関(都市銀行4、地方銀行3、信用金庫23)にヒアリングを実施した。4月9日時点で多かった相談として、「建築資材が輸入できず工事の遅延や工期の延長が生じている」(建設業)、「中国からの原材料の輸入が中止され売り上げが減少」(製造業)、「家賃滞納が増加し、売り上げが減少」(不動産業)などがあった。
また、経済団体や業界団体にヒアリングした結果、「民間工事を含めて、工事中止に伴う責任の所在、契約変更の対応に不安を感じる」(建設業)、「建築資材、電気部材、作業車両の修理部品などの調達難が生じている」(建設業)、「マスク、消毒液など衛生用品の確保がままならない」(建設業)、「テレワーク環境整備経費が増大した」(建設業)、「親会社から1カ月間の生産停止の通達を受けている」(製造業)との声が挙がっている。
提供:建通新聞社