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滋賀産業新聞
2020/04/16

【滋賀】東近江市 『地域完結型医療』実現へ取組推進

 国が提唱し、滋賀県が計画や構想の中で示している東近江医療圏(東近江市・近江八幡市・日野町・竜王町)の『地域完結型医療』の実現に向けて、東近江市が取り組みを進めている。
 当初、3月に開催が予定されていた滋賀県医療審議会で承認を得て、4月に発足予定だった地域医療連携推進法人『東近江メディカルケアネットワーク』だが、新型コロナウイルスの感染拡大のため審議会の開催が延期されており、現時点では6月に審議会が開催され、9月に法人立ち上げの見通しとなっている。
 東近江市が目指す地域完結型医療とは、大都市における大学病院や総合病院のような縦型の大型建築施設でなく、広い市域に点在する専門的な特科医療機関が横につながる横型総合病院。身近な地域の中で、それぞれの病院や診療所・クリニック等がその特長を活かしながら役割を分担、病気の診断や治療、検査、健康相談等を行い、地域の医療機関全体で1つの病院のような機能を持ち、切れ目なく、質の高い効率的な医療提供体制を確保するもの。地域医療連携推進法人は、参加する医療機関の機能分担及び業務連携を推進する。
 東近江市は、現在、市立1病院(能登川病院)6診療所(永源寺・湖東・あいとう・長峰・鋳物師の各診療所と蒲生医療センター)を設置し、市立能登川病院と蒲生医療センターなどは医療法人社団昴会の指定管理。
 市立能登川病院、医療法人社団昴会の湖東記念病院、日野記念病院はそれぞれ地域の中核病院としての役割を担いつつ、市立能登川病院は肝臓、湖東記念病院は脳、日野記念病院は脊髄で高度な医療を提供する機能を有し、急性心筋梗塞、脳卒中、成人肺炎、大腿骨頚部骨折については他地域に比べ優れた設備、人的配置ができており完結率は85%超と高い。一方、高齢化に伴うがん発生率の増加に対しては治療施設が限られており、完結率は56%と極端に低い。
 このため、市は蒲生医療センターをがん治療の取り組み拠点として「がんセンター」の設置を予定。現在19床しかなく経営が厳しいため、将来的な増床や新たな枠組みの立ち上げも視野に入れている。

提供:滋賀産業新聞