東京都建設局は、洪水や高潮などへの円滑な対応を目的とした2020年度版の「東京都水防計画」を策定した。都が管理する1級・2級河川のうち、水防上注意を要する箇所として、中川左岸(江戸川区東小松川3丁目)など244カ所を挙げた。また、高潮に伴って相当な被害が生じる恐れがある海岸として東京湾沿岸を指定し、高潮危険水位を設定。自主避難や関係区の防災活動、避難情報発令などの判断に活用する。
水防上注意を要する箇所は、▽洪水=大雨時の洪水に対し注意が必要な箇所▽高潮=高潮による河川水位の上昇に注意が必要な箇所▽堤防・護岸の強さ=老朽化、洗掘、水衝部で堤防・護岸の強さに注意が必要な箇所▽陸閘=堤防・護岸を連続できない部分に設けた門扉▽工事施工=河川工事中の箇所―に分けて提示。河川の現況などを調査して毎年設定している。
20年度は、「洪水」で80カ所、「高潮」で4カ所、「堤防・護岸の強さ」で14カ所、「陸閘」で22カ所、「工事施工」で124カ所を指定した。水防管理団体などにこれらの箇所の巡視を求めるとともに、河川管理者として自ら対策工事を進めていく。
高潮氾濫危険水位は、想定し得る最大級の台風が起きた際、高潮で海岸や河川の氾濫が起きる危険性を住民に知らせるための基準となる水位。
江東区の辰巳水門を基準水位観測所に決め、同水門の水位が各区の高潮氾濫危険水位に達した時点で、高潮氾濫危険情報を発表し、垂直避難などを促す。
高潮氾濫危険水位については、18年3月に策定した「高潮浸水想定区域図」を基に、情報伝達や住民の避難に必要な時間を考慮して、対象となる12区でそれぞれ設定した。
千代田・中央・港・品川・大田区はA.P.(荒川工事基準面)3・6b、隅田・江東・江戸川区は3・9b、北・板橋・安達・葛飾区は4・9bに設定。これを基に今後、各区で高潮ハザードマップを作成し、情報の伝達方法や避難経路、避難場所などを地域住民に周知する。
提供:建通新聞社