東京都は、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の発令を受けた都の「緊急事態措置」に伴い、工事・設計委託・物品買い入れなどの入札事務手続きについて方針をまとめた。4月8日〜5月6日に公告などを予定していた案件は、緊急事態措置が解除されるまでの間、原則として公告を行わない。すでに契約事務手続きに入っている案件については、新型コロナウイルス感染症の防止に配慮した上で継続する。稼働中の工事は全ての現場に対して受注者と改めて協議し、一時中止や工期延長などの希望がある場合は適切に対応する。
緊急事態措置の実施期間中は、新たな入札・契約は基本的には執行しない。ただ、新型コロナウイルス感染症対策やライフライン、緊急に対応が必要な案件など、都民生活と経済活動の確保のために「真にやむを得ない」と判断した案件は除く。
緊急事態措置前から実施していた契約事務手続きは原則として継続する。業者の入札参加機会を確保するため、入札の公平性等の確保に十分留意しつつ、電子だけでなく紙入札との併用や、書類を郵送などでやりとりするなど、案件ごとに事情を勘案した上で対応する。
入札参加者のうち、緊急事態措置などの影響で事業活動の継続が難しくなったことなどを理由に契約事務手続きの一時中断の申し出があった場合は、その後の対応を検討する。
すでに契約済みの工事・業務に関しては、都がこれまで実施してきた「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた工事および設計等業務の一時中止措置」などの対応を継続する。
具体的には、受注者に工事や業務の一時中止または工期・契約期間の延長の意向を確認し、受注者から申し出があった場合、一時中止や設計図書などの変更で対応。通年の維持工事や社会機能維持に不可欠な工事などについては極力、工事を継続する方向で協議を進める。
新型コロナウイルス感染症の影響で工期を見直したり、技術者の確保が難しかったり、資機材を調達できずに施工を継続できない事態は「受注者の責によらない事由に当たる」と判断し、適切に対応すると定めている。
=社会活動抑制で感染拡大防止=
政府は4月7日に新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針を改正し、「河川や道路などの公物管理」や「公共事業」を事業継続が認められるものと位置付けている。これを踏まえて国土交通省は同日、新型コロナウイルス感染症の感染防止に十分に配慮しつつ、直轄工事を継続する考えを示した。公共投資の早期執行を促し、景気の下支えをする狙いがある。
一方、都は入札・契約の一時中止に踏み切った。新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐためには、できる限りの社会活動を抑制しなければならないという考えだ。
提供:建通新聞社