県内自治体の役場庁舎の耐震化は、今年度に中能登町と穴水町が着手することとなり、全19市町で整備が完了する見通しとなった。庁舎が被災するなど甚大な被害をもたらした熊本地震から4年が経過。先月13日には輪島市で震度5強、穴水町で震度5弱を記録するなど能登地方を震源とする強い地震も発生しており、災害時に住民らの安全・安心を守る最前線基地となる防災拠点の確保が急がれている。
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中能登町は、耐震性に問題がある鹿島、鹿西両庁舎の緊急安全対策として、2000年に建てられた旧鹿西中校舎(能登部下、RC造3階建て延べ約3900平方メートル)を分庁舎に改修する。鹿島、鹿西庁舎に入る全課に加え、鳥屋庁舎からも税務、会計の2課を移設し、1〜2階に配置する。
工事では、窓口業務に対応した内部改修のほか、照明LED化や各設備の更新、11人乗りのエレベーターの設置などを予定する。設計は浦建築研究所が担当。今年度当初予算に関連事業費10億1020万円を盛り込んでいる。町の担当者は年内完成へ向け、「一日でも早く着手したい」と力を込めた。
穴水町では、旧耐震基準の1973(昭和48)年に完成した役場庁舎(川島)について、く体の耐力を増加させる「アウトフレーム工法」を採用し、補強工事を行う。施設規模はRC造3階建て延べ4154・20平方メートル。老朽化した設備機器なども改修する。7月の着工、21年3月の完成を目指す。設計は山岸建築設計事務所が担当。
当初予算に工事費など関連経費11億1144万円を配分した。石川宣雄町長は町議会3月定例会の提出議案説明で「安心して来庁できる行政庁舎として長寿命化工事を進める」と述べ、国の緊急防災・減災事業債などの地方債を活用して町の実質負担額を5億円程度に抑える方針を示した。
この他の自治体では、能登町がこれまでの能都、内浦、柳田の3庁舎を集約した新庁舎を今年1月に開庁した。津幡町は昨年8月、老朽化した南側庁舎の建て替えに着手し、21年1月の供用開始へ工事を進めている。
輪島市は今年1月に起工式を行い、既存庁舎の耐震改修、災害対策本部機能を集約する増築棟建設に取り掛かった。完成は増築棟が21年3月末、耐震改修は22年3月末をそれぞれ予定している。