横浜高速鉄道会社はみなとみらい線(MM線)車両留置場のECI的手法による整備で、技術協力業務を手掛けていた鹿島・東亜建設工業・奈良建設JVと1期目に当たる工事の契約を結んだ。NATMで構築する3断面約590bのトンネルのうち、終点側に当たる2断面約360bの掘削支保工などを4月1日〜2024年9月30日の工期で実施してもらう。同JVの提示した65億8000万円の見積金額を採用し、3月31日付で随意契約。技術協力業務を通じ、地山の良さを考慮した断面形状の見直しや施工方法の提案を得て、工期短縮などが可能になったという。追って、残り1断面約230bの掘削支保工や全体の2次覆工といった後続工事を同JVと契約する他、軌道や信号機などの工事も別途発注して進め、25年3月の完成を目指す。
MM線車両留置場は元町・中華街駅から港の見える丘公園方面(横浜市中区元町1丁目〜新山下2丁目)に向かって、可能な限り公共用地を使って整備するトンネル構造の施設。10両×4編成を収められるようにする他、相互直通運転している他社の車両を含めた引き上げ機能も持たせる。民有地の一部通過に伴う金銭補償を含め総事業費約150億円を見込む。
八千代エンジニヤリング(横浜センター、横浜市保土ケ谷区)で概略設計などを進め、元町・中華街駅から▽単線約210b2本の曲線部▽複線約100b1本の分岐部▽2連(複線×2)約270bの車両留置部―の3断面で、最大土被り約50bのトンネルを計画。また、断面の異なるトンネル構築の工期短縮など狙ってECI的手法を採用することとし、指名プロポーザル方式で19年3月に鹿島JVを技術協力業務の委託先に選び、引き続き八千代エンジに任せる詳細設計へのノウハウ反映を求めた。
鹿島JVはトンネルを貫く地山の地層が上総層群の岩盤であるため、車両留置部の断面を複線2本の「併設」に見直して2連の場合に必要な中央導坑を不要にしたり、2本の掘削タイミングをずらしたりすることなどを提案。採用可能な他の工法に比べ約6カ月の工期短縮が可能になったことなどから、横浜高速鉄道会社では「現場に即した検討が最短でできた」(担当者)とECI的手法の効果を強調した。
最終的なトンネルの工事規模は▽単線228b2本の曲線部▽複線99b1本の分岐部▽複線262b2本の車両留置部―で総延長588b。今回契約した1期目の工事を今夏までに着工させたい考え。
提供:建通新聞社