国土交通省の令和2年度予算が3月31日に公表され、国交省の補助事業における新規事業化箇所として、「一般国道429号榎峠バイパス」が決定した(事業費9000万円)。令和2年度から国道429号(福知山丹波間)の府県境の榎峠バイパスが事業化されることが決定したことを受け、福知山市の大橋一夫市長が4月1日にコメントを発表した。
大橋市長は「国道429号は、福知山市と丹波市を結ぶ重要な道路であり、昔から両市を行き来する生活道路として地域に親しまれてきた。しかし、現況幅員が狭く、つづら折りの道路であるため、普通車のすれ違いすら困難な状況。このような状況の中、両市の地域住民組織が連携して設立された国道429号(福知山青垣間)改修促進合同協議会と両市が設立した国道429号(福知山丹波間)改修促進同盟会とで、榎峠バイパスの早期事業化を求め、アピール活動等や要望活動に取り組んできた」「この度、榎峠バイパスの事業化がついに決定した。官民一体となって要望してきたが、事業化という成果に結びついたことは、まさに歓喜に耐えない思い」「今後は、福知山市としても、事業を実施する京都府・兵庫県と一体となって、国道429号榎峠バイパスの早期完成に向けて、全力で取り組む」とコメントした。
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令和元年11月に京都府公共事業評価に係る第三者委員会に京都府が示した国道429号(榎峠バイパス)道路整備事業の概要によると、事業箇所は兵庫県丹波市青垣町中佐治〜京都府福知山市談。延長は2400m(うち京都府域1090m)。幅員は7・5m(トンネル部7・0m)の2車線。土工部が幅員7・5m(3・0m×2車線、路肩0・75m×両側)、トンネル部が幅員7・0m(3・0m×2車線、路肩0・50m×両側)+監査歩廊0・75m×両側。
計画交通量は1万3000台/日(令和12年予測交通量)。道路の区分は第3種第3級。
榎峠は中央分水嶺に当たることから、分水嶺直下でトンネルの勾配を折り、水量の変化に対する両水系への影響を最小限にとどめるよう配慮する。兵庫県側には絶滅危惧種の生息が確認されているエリアがあり、これを避けるルートを選定する。
事業箇所は、福知山市景観計画において自然景観保全ゾーンの農山村・山並み景観保全地区に該当しており、ルート選定では集落から離れた位置にトンネル坑口を設け、農山村の景観等里山の保全に配慮する。兵庫県側の集落付近には埋蔵文化財が確認されているため、影響のないルートを検討し配慮する。
工事実施の際には、低騒音・低振動の機械を採用。トンネル残土の有効利用のため、トンネル掘進は両方向から行うことを想定し、起終点付近の土工部の施工を円滑に行う。
全体事業費は約42億7000万円を見込む。総便益(B)は46億7000万円、総費用(C)は34億9000万円、費用便益比(B/C)は1・3と算出した。
事業期間は令和2年度〜令和8年度の7年間を想定する。
なお榎峠バイパスを巡っては、中丹西土木事務所が国道429号道路企画調査業務として、これまでにまとめた道路概略設計を踏まえ、延長2450m(幅員6m〜7・5m)の道路予備設計(バイパス計画)を作成する業務を平成31年2月に指名競争入札でオリエンタルコンサルタンツに委託し実施。
また国道429号道路企画調査業務として、榎峠バイパスの新規事業着手に向け、事前評価に必要な当該路線の将来交通量の推計と費用便益分析を行う業務をセントラルコンサルタント京都営業所(京都市南区)と平成31年3月に随意契約し実施した。