トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北陸工業新聞社
2020/03/31

【石川】木質都市を全国発信/令和時代のまちづくりに/新技術背景に金沢流定義/製材、木材業の振興も 

 「金沢はこれまでも先人が条例をつくりながら、木の文化を大切にしてきた。金沢を象徴するものは兼六園や金沢21世紀美術館から、最近は鼓門になったが、木のインパクトは大きい。これからのまちづくりのキーワードにしたい」―。30日に行われた木質都市を創出する金沢会議の冒頭、山野市長はこう述べ、木質都市に取り組む意義を強調した。
 概要説明の中で同市の木谷弘司都市整備局長は木質都市の創出について、「(CLTなど)木を使った新しい建築技術を背景に、木との接点を増やす広い視点で令和時代のまちづくり、次の金沢の都市格をアップさせたい」と説明した。
 出席した委員からはいろんな意見が出された。建築構造の腰原幹雄東大教授は、国内初の木質複合構造による金沢エムビルを事例に、「未来の木の使い方、未来像を描いて一般の人に伝わるように示せばいい」と述べたほか、木質という言葉のイメージについて、国連大サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット事務局長の永井三岐子氏は「過去に立脚したものからSDGs、持続可能な要素、林業振興とのリンクもある。いろんな人が使いやすい要素を内包する言葉がいい」と指摘した。
 同会議座長の水野一郎氏は「かつては不燃化で木造から鉄筋コンクリート造や鉄骨造になったが、今また、価値観が変わってきている」とした。戦後、木造が否定された原因について福光氏は「焼夷(い)弾が大きい。当時、近代化資金の金利も低く、市民が近代化という言葉に憧れがあった」と述べ、木質都市には「都市美文化賞でも町家改修が増え、まさにトレンド」と期待を寄せた。永井氏は「金沢は世界に誇れる価値を持っている。木質都市で使われている木材は何で、どこで調達されているのかを見える化すればいい。プラットホームになる」との見方を示した。腰原氏も「実際、地元産材がどれぐらい搬出できるのか。県内の製材業、木材産業の潜在力も大切」とした。
 建築構法の金沢工大准教授の宮下智裕氏は「新しい金沢の町家が出てきてもいい。世代間で木に対する考え方は随分違うが、未来のレイヤーを重ねるための木を考えたい」と述べ、水野座長は「(建物だけでなく)家具なども含め、木の文化全体に対しての木質都市がある」とし、山野市長も「都市美文化賞で今年はベンチがあった。金沢流の定義を確立したい」と決意をにじませた。福光氏は「伊勢神宮に代表されるように、日本文化の根底には再生がある。金沢がサスティナブルで完結でき、木の文化都市を目指せばいい」と期待を寄せた。

hokuriku