金沢市が柿木畠地内の旧南分室跡地に整備した第二本庁舎の落成記念式典が23日、同庁舎エントランスホールで市議や地元関係者ら約100人が出席して盛大に開かれた。建物は随所に地元産材や伝統建築技術を取り入れて金沢らしさを表現したのが特長。機能面では、庁舎2階に災害対応の拠点となる危機管理センターを設置したほか、1階のエントランスホールは土日でも市民の利用を可能としている。
式では、山野之義市長が「第一本庁舎と一体となって行政機能を担うとともに、まちなかの賑わい創出や市民の皆さんに親しまれる施設として負託に応えていく」とあいさつ。来賓を代表して松村理治市議会議長が祝辞を述べた。太田敏明総務局長が工事経過を報告した後、出席者によるテープカットが行われた。
第二本庁舎は、老朽化した旧南分室の建て替えにあわせ、手狭になった第一本庁舎から一部の部局を移すとともに、分散する外郭団体などを集約するため建設。規模はRC一部S造地上3階地下1階建て延べ1万2179平方メートル。総事業費は53億7000万円。今後、引越し作業を行い、5月7日に供用開始する。
施設は、正面の湾曲したアプローチの近代的形態と、第一本庁舎とあわせたレンガ色の外観や金沢伝統の格子「木虫籠(キムスコ)」ルーバーを設置した歴史的意匠を併せ持つ。建物を分節する大きな庇を設け、周囲には既存樹木を植栽し、辰巳用水など周辺の歴史的景観にも配慮した。西側には西日除けのルーバーを設置するなど省エネ対策も取られた。
エントランスホールは吹き抜けの広々とした空間となり、天井やカウンター、テーブルなどに金沢産のスギを用いた。危機管理センターには免震構造を採用し、防災情報システムを導入。県や近隣自治体との広域による災害対応も可能とした。
設計は五井建築研究所が担当。施工は真柄・兼六・豊蔵・城東JV(建築)ら。